暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
その名は岸田。小説家志望

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ゃ休憩だー」

 『了解っ』と敬礼している川内を教室に残し、俺は事務所に戻った。自分の席に座ってAccessの業務基幹ソフトを開いて、今日の川内の進捗状況を記入する。

「本人の習熟も早く、進行スピードを上げることも……」

 授業自体は多少ふざけても大丈夫だが……進捗報告は真面目に書かねばならん。こうして川内の授業の進捗を記入していたら……

「考え……ひゃあんっ!!?」

 突然、俺の首筋に冷たい感触が走った。不意打ちの氷点下の衝撃は、俺の喉から変な叫び声を絞り出させるには充分だったようで、俺は変な声を上げ、反射的に首を押さえてガタッと勢い良く立ち上がり、憤怒の形相で振り返った。

「ぶひゃひゃひゃ!! なにムツさんみたいな変な声出してるの!?」

 俺の背後で、今の事件の容疑者の川内が、腹を抱えて笑ってやがった。ちくしょう。俺の喉からセクシーボイスを絞り出させやがって。

「お前なぁ……人が真面目に仕事してる時に……!」
「いやぁーせんせーの無防備な首筋みたら、ちょんって突っつきたくなっちゃって。せんせー、首筋弱いの?」
「ここが強いやつなんていないだろう……」
「私、別になんとも無いよ?」
「うそつけー」
「ホントホント。触ってみなよ」

 そう言いながら川内は、俺の左隣にやってくると、少しだけ頭を下げ、首筋を無防備に俺に向けてきやがった。……むかついたのは、こいつの首筋がすんごい綺麗なことだ。夜戦バカで賑やかなアホのくせに、色白でめちゃくちゃ綺麗な肌してやがるなこいつ。この綺麗な首筋の反対側で、このアホがニッタニタに笑ってる事を考えると、ドキドキはまったくしないが……むしろ腹立たしいだけだが……

 この、無防備でムカつくほど綺麗な首筋を、俺は左手でガッシと掴んでみた。

「……」
「……」
「……ニヒっ」

 どうやら、なんとも無いというのはウソではないらしい。川内は俯いていた顔を上げて俺の方を振り返る。おかげで川内の首を掴んでいた手が川内の頭と肩に挟まれて、俺は手を放して引っ込めることが出来なくなった。

「ほらせんせー! 私、平気でしょ?」
「まぁいいから手を離せよ。これじゃ仕事が出来ん」

 お前の首筋、あったかいんだよ……平気だと思って触ってみたけど、想像以上にダメなんだよ色々と……。

「私の勝ちだね、せんせー」
「分かったよ。お前の勝ちでいいから」
「やったぁぁああああ!! んじゃ早速夜戦を……!!」
「なんでそうなるんだよ……」
「ハーッハッハッハッ!!!」

 適当なところで寸劇を終わらせ、俺はこの夜戦バカの高笑いをBGMに、川内の授業の進捗を記録する仕事に戻る。

 ……そういえば。今日の授業は、あとはプリント作成だ。……ならば、俺もAc
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