暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
その名は岸田。小説家志望

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「それで先生、俺はね。小説を書いてるんだよ」
「伺っております」
「それでお願いがあるんだけど……」
「なんでしょう?」
「余計なことは教えなくていいから。必要なことだけ教えてくれればそれでいいよ」

 うーん……気持ちは分かるけど、小説の執筆に必要な機能ってなんだ? 本人がそれを絞りきれてないし、俺達がそれを把握しているわけでもないし……なんだかものすごくふわっとした要望だなぁ……

「んー……約束はできませんが、検討はしておきます」
「頼んだよ?」
「繰り返しますが、約束は出来ません。とりあえず今日は、このままWordの授業に入ります。何が小説の執筆に役に立つのか分かりませんし」
「写真の取り込みとかはいらないよ? だって使わないし」

 使わないかどうかはわからないだろー!?

「と、ともあれ検討はさせていただきますから。とりあえず今日のところは、素直にWordの授業を受けて下さい」
「はいはい……」

 はいは一回でいいって母ちゃんに習っただろー!?

 そんな俺の魂の叫びがせ漏れだすのをなんとか我慢して、俺は残り時間、岸田さんに無理矢理Wordの授業を受けさせた。

「……ソラール先輩」
「ん?」

 授業が終わり、岸田さんを含む生徒さん全員がいなくなった後、俺は帰り間際のソラール先輩に声をかけた。授業で他の生徒さんのフォローをしてくれていたことと、今日の失態を謝るためだ。

「……今日は、すみませんでした」
「なに。気にすることはない。神通の初めての授業の時、貴公も他の生徒をしっかりフォローしてくれていたじゃないか」
「でも」
「困った時はお互い様だ。そこは気にしなくてもいい」

 意気消沈気味の俺に対し、ソラール先輩は、そう言った後、肩を揺らして朗らかに笑ってくれた。幾分、肩が軽くなった気がする。

「……それに、今日の何がまずかったのかは……すでに貴公は分かってるみたいだしな」
「……ええ」
「なら、俺は何も言うことはない。太陽の戦士になるために、必要な試練だったのだろう」
「……ですね。太陽の戦士ではないですが……乗り越えるべき試練なんでしょうね」
「その意気だ! では太陽メダルを一つ、進呈し……」
「それは結構です」
「貴公……」

 その後『太陽……俺の太陽よぅ……』と情けない声を上げながらソラール先輩は帰って行った。やっべ……あの珍妙過ぎる鎧兜の太陽マークが、今日だけはとても輝いて見える。後ろ姿から光が見えるぞマジで……。

 そして教室に残されたのは、大淀さんと俺の二人だけだ……。ソラール先輩が帰ってから、会話がまったくない。

「……」
「……」

 岸田さんの備考欄に今日の出来事を記入した後、いたたまれない気分で縮こまる。向かいの席
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