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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十話 ヴァンフリート4=2 再び
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令官ゼークト大将より反乱軍の動向を確認した。

両大将の話では反乱軍は相変わらず艦艇をイゼルローン回廊内に送り込んでくるとのことだった。実際に遠征軍も何度か回廊内で反乱軍の艦艇に接触している。そしてそれはヴァンフリート星域に着くまで続いた。敵、いや反乱軍はかなりこちらの動向に神経質になっている。

「シュターデン少将、ヴァンフリート4=2の反乱軍の基地まであとどのくらいかな?」
「はっ、約三時間程度かと思います」
「ふむ、反乱軍の艦隊の動向は?」
「未だ分かりません」

クラーゼン元帥が渋い表情をした。反乱軍以上に神経質になっているのがクラーゼン元帥だ。反乱軍の動向が分からないことが不安らしい。まあ無理もない事ではある、戦場に出ることなど久しぶりなのだからな。だから何かと私を頼ってくる。こちらとしては願ってもない事で思うように指揮を執れるのだが何とも鬱陶しい。

「ご安心ください、周囲には哨戒部隊を出しております。彼らからは反乱軍の哨戒部隊との接触を告げる報告は有りますが、それだけです。反乱軍の艦隊についての報告は未だありません。連中が哨戒部隊に気付かれずに艦隊に接近することは不可能です。おそらく反乱軍は手をこまねいているのでしょう」

「そうだな」
私の言葉にクラーゼン元帥が同意した。どちらかと言えば自分を納得させようとしているような口調だ。まだ十分に納得はしていない、もうひと押し必要だろう。

「オーディンから連絡が有りましたが、或いは反乱軍は基地を囮として使い我々を誘引して不意を衝こうと考えているのかもしれませんが、十分に警戒態勢をとっていれば不意を衝かれるようなことは有りません。必要以上に恐れる事は無いと考えます」
「うむ、その通りだな、少将」

クラーゼン元帥が大きく頷いた。どうやら安心したようだ、敵と戦うよりも味方を宥める事の方が手がかかるとは……。心配はいらないのだ、味方の兵力は五万隻を超える、我々を攻撃しようとすれば反乱軍もそれなりの兵力を用意しなければならない、となれば味方の哨戒部隊に引っかからずに艦隊に接近することは不可能だ。

三時間後、ヴァンフリート4=2を間近に捉えても反乱軍の艦隊は現れなかった。どうやら反乱軍は基地を放棄するらしい。或いはこちらの艦隊に隙が無いため襲撃できず放棄せざるを得なくなったか、もしかすると連中の兵力はこちらよりも少ないのかもしれない、それが原因で思い切った行動が取れずにいる……。まあどうでも良い、あの忌々しい基地がなくなるのであればな。

「シュターデン少将、反乱軍はやはり基地を放棄したようだな」
「はっ」
「反乱軍の艦隊が近くにいるかもしれん、警戒を厳重にするように命令してくれ」

ウンザリした、哨戒部隊を出しているのにこれ以上何を警戒するのだ。実戦経
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