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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十話 ヴァンフリート4=2 再び
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うくするようなことは無い。
前回の敗戦の所為だろうが遠征軍は、いや帝国軍は必要以上にあの基地を過大評価しているのではないだろうか。反乱軍があの基地を放棄するとなれば反乱軍はその行動においてなんら制限されることは無い。むしろ基地を破壊するという目的を持つ分だけ帝国軍は動きを読まれやすくなる。
ヴァンフリート星系は決して戦いやすい場所ではない。前回の戦いでは味方の艦隊の位置を確認する事すら出来なくなった。それほど戦い辛い場所だ。しかし相手が何処に向かうかが分かってさえいればある意味伏撃をかけやすい場所だともいえる。
ヴァレンシュタインはそれを狙っているとは考えられないだろうか。だからここ二ヶ月ほど反乱軍の動きが積極的なのだ。ヴァンフリート4=2の基地を必要以上にこちらに印象付けようとしている。攻撃対象と認定させるために……。帝国軍を引き寄せるために……。
「その場合は、反乱軍の狙いは……」
「遠征軍の撃破、ではないかと考えます」
オフレッサーが大きく頷いた、そしてフンと鼻を鳴らす。頼むからそれは止めてくれ、うつりそうで怖い。
「……有りえん話ではないだろうな。基地が必要なら遠征軍を撃破した後、もう一度造れば良いのだからな……。分かった、遠征軍には軍務尚書から警告を発してもらおう」
オフレッサーがそれで良いか、と言う風に俺を見たので頷いた。実際それがどの程度の意味を持つかは遠征軍司令部の判断次第だ。それ以上の事はこちらには出来ない。だが彼らの頭の片隅にでもあれば多少は違うだろう。敵が必ず基地を守るなどという固定観念を持たれるよりは遥かにましだ。
「ミューゼル少将、艦隊を編成したらすぐ訓練に入れ。出来るだけイゼルローン回廊に近い辺境で行うのだ」
「遠征軍が危険だとお考えですか?」
俺の問いかけにオフレッサーは首を横に振った。
「分からん……。あくまで念のためだ……。何もない事を俺は大神オーディンに祈っている」
念のため、しかし訓練には直ぐ入れと言った。そして場所は辺境……。
戦争に関してこの親父のカンが外れる事は滅多にない、そうでなければイゼルローンで俺達の進言を受け入れて伏撃など実施する事は無かったはずだ。理屈では無い、感覚で戦争というものを把握している。そのオフレッサーが事態をかなり危険だと考えている。急ぐ必要があるだろう、俺も嫌な予感に捉われている。直ぐに艦隊を編成しなければならない。
帝国暦 486年 4月 27日 08:00 ヴァンフリート4 帝国軍総旗艦 ヴィーダル シュターデン
遠征軍は順調にヴァンフリート4=2の反乱軍の基地に向かって進んでいる。三月上旬にオーディンを出立、イゼルローン要塞で補給及び休息を取り、要塞司令官シュトックハウゼン大将、駐留艦隊司
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