巻ノ九十二 時を待つ男その七
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柔術の技でだ、望月は投げられた。それは足払いをかけられたが即座に身体が回って脳天から落ちるものだった。
望月は慌てて両手を地面に突いて身体を跳ねさせてだ、脳天から落ちるのを防ぎ。
両足で立花の顎を狙った、しかしそれに当たる立花ではなく。
その蹴りをかわしてだ、後ろに下がった。望月は蹴りから宙返りで起き上がって立ってからそのうえで彼に問うた。
「今の技は」
「驚いたか」
「はい、はじめて見ましたが」
「山嵐といってな」
「山嵐ですか」
「柔術の技の一つでじゃ」
「あと少しで脳天から落ちました」
そうなっていたというのだ。
「まさに」
「それを狙う技じゃ」
「そして倒すのですな」
「脳天は急所の一つじゃな」
「はい」
まさにとだ、望月も答えた。
「兜を被っていましても」
「その衝撃が襲う」
「それだけに強い技ですな」
「そうじゃ、しかしこれが中々難しい」
「足を長く相手の足に置かないと」
「こうはいかぬ」
そうした技だからだというのだ。
「難しいのじゃ」
「そこは気をつけて」
「技を仕掛けよ、よいな」
「わかり申した」
「そして先程の御主の動きじゃが」
望月にだ、立花はさらに言った。
「凄いことをしたのう」
「両手で突いただけですが」
地面をだ。
「ただそれだけですが」
「いや、それがじゃ」
「容易には出来ぬと」
「そうじゃ、だからな」
それ故にというのだ。
「凄いと言ったのじゃ」
「そうでしたか」
「しかもそこでさらに蹴りを放つとはな」
立花は蹴りのことにも言及した。
「出来ぬわ」
「左様ですか」
「うむ、並以上の者ではな」
「そうであればいいですが」
「そこまで出来るとな」
まさにというのだった。
「違う、拙者も教えがいがある」
「左様ですか、では」
「拙者の全てを授けたい」
また言った。
「どんどん教えていくぞ」
「それでは」
こうしてだ、望月はさらにだった。立花から体術を教わった。修行は厳しく並の者ならば一日で動けなくなる程だった。だが。
彼は修行を受け続けていた、そしてだった。
彼は技を次から次に身に着けていった、そして幸村もだ。
彼の鍛錬に付き合っていたがここでこうも言った。
「急所はな」
「はい、立花殿にも教えて頂いていますが」
「身体の真ん中に多くな」
「そこをどう攻めるかですな」
「そうじゃ」
立花も言ってきた。
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