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大淀パソコンスクール
二人は順調

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種類の変更』から、『折れ線グラフ』の『マーカー付き折れ線グラフ』を選択する」
「はいっ!」

 震える右手でマウスを操作し、『マーカー付き折れ線グラフ』を選択した神通さん。選択したグラフは折れ線グラフへと変貌したが、神通さんの表情は晴れない。

 なぜなら、折れ線グラフはグラフのエリアの最低のところに位置しており、非常に目立ちにくく、見辛くて変化がわかりにくいからだ。

「……ソラール先生。これでは……」
「ああ。このグラフでは分かりづらい。これでは神々の住むアノール・ロンドには到達出来ん。あの狭い通路で、銀騎士の大弓に叩き落されるだろう……」
「ですね……この程度のグラフでは、奇跡の作戦キスカは達成出来ないでしょう……」

 相っ変わらず変なところで歯車が噛み合ってるなー……グラフごときで命の危機に瀕してるみたいな緊張感を漂わせる神通さんも神通さんだが、戦場で初出撃の新米兵士を見守るベテラン伍長みたいな雰囲気を漂わせている、ソラール先輩もソラール先輩だ。なんで二人の授業はこう、無駄に緊迫感が漂ってるんだ?

「ど、どうすれば……よいのでしょうか……?」
「これは、棒グラフと折れ線グラフが、同じ目盛りを基準にして作成されているからだ」
「なるほど……つまり、折れ線グラフ用の新たな目盛りを作成すればいい……」
「そのとおりだ。Excelではそれを、『第2軸』と呼んでいる」
「第2軸……」

 ソラールさんはそういい、噂の太陽の直剣を再び鞘から抜き放つと、それで画面の『選択範囲の書式設定』を指し示す。言われるままに神通さんはクリックし、軸の設定を『第2軸』に設定した。……神通さん、なぜ、目をギュッと閉じてるんですか? クリックするだけなのに、めちゃくちゃ怖いんですか?

「……」
「……」
「……神通」
「……はい」
「太陽が、貴公を導いた。……目を開けてくれ」
「……いいんですか?」
「ああ」

 恐る恐る、薄目を開く神通さん。……だからなぜそんなに怖がる?

「カシワギ先生、ちょっといい?」

 ……ああ、しまった。あの二人の魅惑の異空間授業に気を取られすぎていた。今日も来ているおばあちゃんのタムラさんが、こっちを見て右手をピラピラ動かしている。何か困ったことが起こったようだから、フォローしないと。俺は小走りでタムラさんのもとに向かい、彼女の画面を覗き込んだ。

 ちなみに、そんな俺の背後からは、神通さんの『こ、これは……!? これで奇跡の作戦、キスカも大成功ですね……!!』という歓喜の声と、同じくソラール先輩の『さすがだ神通! それでこそ太陽の戦士っ!!』というねぎらいの言葉が聞こえてきた。見てはいないが、ソラール先輩は立ち上がってY字ポーズを取っていることだろう。椅子のガタッて音が鳴っ
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