暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
二人は順調

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「はいこんにちはモチヅキさん」
「こんにちはモチヅキ殿!!」
「こんちわ!!」

 無論その中には、あのアホの妹にして、ザ・大和撫子の神通さんもいるわけだ。川内が見せないふわっと柔らかい微笑みは、見ているこちらの気持ちもふわっと和らげてくれる。うーん。天使だなぁ……神通さん。

「こんにちは。今日もよろしくお願いしますね」
「はいこんにちは〜」
「今日はその……ソラール先生は?」
「いますよ? 今日も神通さんの担当はソラール先生です」
「そうですか」

 ……あれ? ほんのちょっと、笑顔にブーストがかかったような……? まぁいいか。俺はそのまま神通さんと共に教室に入り、今日の割り振りの席まで案内した。

「おお! 神通!!」
「ぁあ、今日もよろしくお願いしますソラール先生!」
「もちろんだ! 今日からグラフに入るから、少々難しくなる……だが貴公なら大丈夫だ!!」
「はい!」

 ……おや? 神通さんの笑顔がさらにパアっと明るくなったような……? これはひょっとして……まぁいいか。

 神通さんがグラフに入るというのなら、説明が少々込み入るはずだ。ならば俺は、他の生徒さんを一人で見るぐらいの覚悟でいなければ……教室を見回す。神通さんを除くと、生徒さんは全部で3人。しかも全員がプリント作成に代表される自習だ。なら、俺一人でも充分フォローが出来る。俺は、神通さんのパソコンに電源を入れ、OSを選択し終わったソラール先輩の元に駆け寄った。

「ソラール先輩」
「んお?」
「今日はグラフの説明に入るんですよね。他の生徒さんは、俺が出来るだけ見るようにします」
「助かる。貴公も頼もしくなったな」

 俺の耳元でそう言ってくれるソラール先輩の声は、バケツ兜のせいでくぐもっていたが、とてもうれしそうな声に感じた。口角が上がっている時の声特有の、ちょっとはじけているような、少しテンションが上っているような、そんな感じの声だった。

「あとで貴公には、この太陽のタリスマンを……」
「それは結構です」
「貴公……」

 余計なものはいらないんすよ先輩。先輩の授業の進め方を拝見出来れば、それでいいんです。

 さて、神通さんは今日からグラフに入る。この一ヶ月の間、数人の生徒さん(お年寄り)がグラフにチャレンジしていたが、いずれの生徒さんも、このグラフの単元では苦戦しているのが現状だ。神通さんはどうだろう? 他の生徒さん(お年寄り)と比べると非常に優秀なんだが……

「では神通。グラフにしたい部分をまずは選択してくれ」
「はい。……こうですか?」
「そうだ。ではそのまま、挿入タブの縦線グラフを選択しよう」
「はい」
「クリックしたら、『集合縦棒グラフ』というものをクリックしてくれ」

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