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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
16.再会
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テーブルの上からユイが、

「パパはパパですから!」

 その言葉にキリトは笑顔になり、

「ああ。詳しいことはアスナを助けたその後に話すよ」

「……そっか。必ずだからな」

 シュウたちはリーファの言われた通り宿舎へと上がる。どうやらこのALOというゲームは自分の領地内であれば即ログアウトを行うことができるが、フィールドや他領地の場合はアイテムや宿舎などを使用しなければ現実にプレイヤーが帰還した後も数分間はプレイヤーのアバターは残り続ける。これはログアウトによる盗み中や戦闘時の緊急脱出を防止するためだろう。
 シュウとキリトは別々の部屋をとり、軽く挨拶だけ済ませて各々の部屋の中へと入った。
 特にやることもなかったため、シュウはそのままベットに横になり、右手の指を振り、メニューウインドウを出すとそのままログアウトボタンを押した。世界が虹色の光に包まれ、視界がブラックアウトした。

 ───ゆっくりと瞼をあけた。見慣れた自室の天井。
 もう一度、自分が仮想世界へと行くことになるとは思ってもいなかった。だからこそまるで夢から覚めたような感覚だった。もしかすると仮想世界なんて物は存在せずに全てが夢の中のことなのかもしれない。
 そんなくだらない考えをしながらもベットから上半身をゆっくりと起こした。その時だった。身体中に悪寒が走る。心臓が素早く脈打ち、呼吸も荒くなっていく。そして脳裏に蘇るあの記憶たち。
 恐怖に怯えて死に逝く者、憎悪の表情で死に逝く者、何も感じることなく一瞬で死に逝く者。
 今度はとてつもない嘔吐感が襲う。集也は自室を勢いよく飛び出し、トイレへと駆け込むと胃の中の物がなくなるまで吐き続けた。

「はぁ……は、ぁ……」

 頭を抱え、恐怖でその場にうずくまる。
 やはりそうだった。そうなるんだった。
 集也は、現実に戻ってきてからあいつらのことを忘れようとしていた。あれは夢だったと現実じゃないんだと自分から切り離そうとしていた。しかし、そんなことができるわけもない。
 あれだけ、あの世界では全てを背負って生きていくまで覚悟を決めたはずなのに現実に戻ってみれば結局、集也はあれだけの罪に耐えられなかった。そのために忘却という最低な方法を選んだ。忘れることで何かが変わる気がしていた。しかし、それはただのその場凌ぎでしかなかった。
 そして今回再び、仮想世界へと行ったことで無理矢理忘れようとしていたものが鮮明に思い出される。
 この痛みに集也は耐えることができない。シュウならば忘れることもなく全ての過ちを背負って生きることができるのかもしれない。
 しかし、集也にはそれができない。二人は同じであると同時に違う人物でもある。現実に戻ってきてからはそう思うことが多くなった。
 そして、再び仮想世界へと
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