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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十九話 教官と教え子
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将の言う通り下手に参加するとシュターデン少将に磨り潰される可能性が有ります。敢えて危険を冒す必要はないでしょう」
「いや、ケスラー准将。武勲を挙げる場は有る」
俺の言葉に皆が訝しげな顔をした。
「これは未だ極秘だが、間もなく国内で或る貴族が反乱を起こす」
「!」
皆が顔を見合わせた。緊張した表情をしている。
「討伐軍の指揮官は私だ、卿らにも反乱鎮圧に参加してもらう」
帝国暦 486年 1月 31日 オーディン ゼーアドラー(海鷲) アウグスト・ザムエル・ワーレン
「勝てるかな、遠征軍は……」
ミッターマイヤーが呟くと皆がその言葉に顔を見合わせた。ケスラー、クレメンツ、メックリンガー、アイゼナッハ、ビッテンフェルト、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ミュラー、そして俺。あの会議室に居た人間で此処に居ないのはミューゼル少将だけだ。
答えようがなかった。元帥府の中ならともかくゼーアドラー(海鷲)の中では周囲に対して多少憚りは有る。特にオフレッサー元帥府にいる我々は宇宙艦隊司令部の受けは良くない。負けるなどと言ったと知られたらそれだけで大問題になるだろう。
「済まない、馬鹿なことを言ったようだ」
ミッターマイヤーが頭を掻いた。その姿に皆がまた顔を見合わせた。誰かがクスッと笑うとそれを機に皆が苦笑した。ミッターマイヤーも苦笑している。
「まあ俺達に出来るのは遠征軍が無事に戻ってくることを祈ることだけだ。それ以上は遠征軍が自ら決めるだろう」
ロイエンタールの言葉に皆が頷く。確かにその通りだ、冷たいようだが俺達に出来るのは祈ることぐらいしかない。
それにしても無事に戻ってくる事を祈るか……。相変わらず皮肉な物言いをする男だ。ロイエンタールは遠征軍が負けると見ている。その損害が小さい事を望んでいるということだろう。そして皆がそれに頷いている。
今一つ盛り上がらない。遠征軍に参加できないという事が皆の心に引っかかっているのだ。巻き添えにならずに済むという思いと見殺しにする事になるという思いがせめぎ合っている。そう、皆が遠征軍は敗北するだろうと思っているのだ。
入口がざわめいている。視線を向けると数人の男達が入ってくるところだった。クレメンツ准将が微かに顔を顰めている。近づいて来る男達の中に不機嫌そうな表情をした男が居た。シュターデンだ。こちらに気付かなければと思ったがどうやら我々に気付いたらしい。不機嫌そうな表情のまま近づいて来る。そして俺達の席の前で足を止めた。
「残念だな、クレメンツ准将。今回の出征に参加できないとは」
「……」
嫌味な奴だ、黙って通り過ぎれば良いものを……。士官学校の教官時代から変わらない。おかげで皆から嫌われた。
「クレメンツ准将、卿はヴァレン
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