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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十九話 教官と教え子
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いのもシュターデンの忌諱だけが原因ではないのかもしれない。オフレッサーが俺を温存したという事も有るのだろう……。オフレッサーは次の戦いを半ば以上捨てている、彼の眼は次の次の戦いを見据えているようだ。
「閣下、直ちに反乱鎮圧の準備にかかります」
「うむ、頼むぞ」
「はっ」
執務室を出ると会議室に新たに集めた人間を招集した。ケスラー准将、クレメンツ准将、メックリンガー准将、アイゼナッハ准将、ビッテンフェルト准将、ロイエンタール准将、ワーレン准将、ミッターマイヤー准将、ミュラー大佐。
人材はそろっている。政略面でケスラー、戦略面ではメックリンガー、クレメンツ、実戦指揮官としてアイゼナッハ、ビッテンフェルト、ロイエンタール、ワーレン、ミッターマイヤー、ミュラー。ミュラーを除けば皆二百隻から三百隻ほどの艦隊を指揮している。俺の艦隊と合わせれば五千隻ほどの規模になる。
ミュラーだけはまだ艦隊を指揮していないが俺は彼の能力を疑うつもりはない。キスリングの話ではヴァレンシュタインはミュラーを評して“良将”と言ったらしい。ヴァレンシュタインが言うのであれば間違いはない。他の誰の評価よりも信じられる。
ワーレンとアイゼナッハは俺が呼んだ。この二人は巡航艦ヘーシュリッヒ・エンチェンによる同盟領への単独潜入で知り合った。メックリンガー、ビッテンフェルト、ロイエンタール、ミッターマイヤーはクレメンツが推薦してきた。そしてケスラー……、彼は政略面で頼りになる人物をと探しているとキスリングが推薦してくれた。
「ミューゼル少将、何か有りましたか?」
クレメンツが問いかけてきた。皆も興味深げな表情で俺を見ている。
「次の遠征だが、我々は参加しないことになった」
俺の言葉に皆が顔を見合わせた。
「シュターデン少将の差し金ですか、嫉まれてますな」
ケスラーが苦笑交じりに声を出すと皆が笑い声を上げた。笑えないのは俺だけだ。
「しかしシュターデン少将の指揮で戦わずに済むというのは有りがたい、彼の指揮で戦えば生存率が三割は下がります」
「ミッターマイヤー、卿は優しいな。俺なら五割は下がると言うところだ」
「一応士官学校では恩師だからな、卿もそうだろう、ロイエンタール」
「恩師でなければ七割と言っているさ」
ロイエンタールとミッターマイヤーの軽口に皆が笑った。今度は俺も笑えた。
「俺なら九割と言うところだがな、シュターデンの指揮ではすりつぶされかねん。まして相手はヴァレンシュタインだ、生き残るのは難しかろう」
ビッテンフェルトの言葉に皆が沈黙した。本人は冗談のつもりで言ったのかもしれないが誰も笑えずにいる。分かっているのだ、ヴァレンシュタインの恐ろしさを……。
「まあ武勲を挙げる場を失ったのは残念ですが、ビッテンフェルト准
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