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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十九話 教官と教え子
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はずだ」
「それを帝国に対する反乱として討伐する……」
堪えられない、いや堪えようとしても堪えられないように持っていくのだろう。必要以上にマクシミリアンを挑発し、暴発させる。暴発しないのであればほんのちょっとした言葉尻を捉えて帝国政府に対して叛意有りとする……。マクシミリアンが反乱を起こす、それが前提の調査……。
「いささかあざといような気がしますが」
「あざといか……、他人事のように言うな」
オフレッサーが顔を顰め唸るような声を出した。
「と言いますと?」
「反乱討伐の指揮官はミューゼル少将、卿だ」
「!」
オフレッサーが厳しい表情をしている。自然とこちらも身体が引き締まった。
「反乱が起きるまで一ヶ月とはかかるまい、討伐の準備をしておけ。カストロプはオーディンに近い、カストロプ公は叛意を疑われることを恐れそれほど大規模な軍事力は持っておらん。しかし失敗はもちろん、手間取ることも許さん」
「はっ、承知しました」
「反乱鎮圧に成功すれば中将に昇進だ、率いる艦隊も一万隻となる。既に帝国軍三長官の同意も得ている」
「その艦隊を率いて遠征軍に参加しろという事ですね」
一万隻、それだけの戦力が有れば戦局を左右する事は十分に可能だ。欲を言えばきりがないがそれでもこれまでにない強い立場で俺はあの男と戦えるだろう。
「違う」
「違う?」
意気込みを外されたような気がして思わず問いかけるとオフレッサーは渋い表情で頷いた。
「遠征軍はカストロプの反乱が鎮圧された時点で出征する。卿の艦隊は十分に訓練されていない、足手まといになるから今回の遠征には加えられない」
「……」
「クラーゼン元帥はそう言っている」
クラーゼン元帥というよりシュターデンだろう、俺が邪魔なのだ。ヴァレンシュタインは俺を高く評価している。そのヴァレンシュタインを破り、ヴァレンシュタインなど大したことは無い、彼が評価する俺も大したことは無い、そう言いたいのだ。
愚かにも程が有る、シュターデンはヴァレンシュタインの恐ろしさが分かっていない。いや、分からないからこそクラーゼンを宇宙艦隊司令長官になどと考えた……。
「反乱鎮圧には卿が集めた男達を連れて行け、鎮圧後にはまとめて昇進させる。……少しでも卿らの立場を強くしておく必要が有るからな」
最後は呟くような声だった。もしかするとオフレッサーは自分が艦隊を率いるときの事を考えているのかもしれない。その時のために自分の手勢の立場を強化しようとしている……。
「……閣下、遠征軍は勝てるでしょうか」
俺の問いかけにオフレッサーは即答しなかった、そして溜息を吐いた。
「……勝って欲しいと思っている」
やはりオフレッサーは遠征軍が勝てるとは思っていない。俺が遠征軍に参加できな
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