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大淀パソコンスクール
少しは妹を見習ったらどうだ?

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トを手に取った。

「どうですか?」

 大淀さんも気になるようで、川内作のプリントをひょいっと覗き込んできた。問題は……特に無い。駆け足でここまで進んだ割には、習得するスピードが早いな。神通さんほどではないが、さすがの若さだ。お年寄りばかり相手にしてると、そんな感想を持ってしまう。

「これなら次に進んでも問題なさそうですね」
「ですね。じゃあ、次のプリントが終わったら、はがき作成にすすんで下さい」
「了解です」

 プリントがこの出来なら文句はないだろう。確かに作りはシンプルなものだが、ここまで出来れば、Wordの基礎中の基礎は習得したと見ていい。俺は、次回は次の単元に進むことを川内に伝えるべく、プリントを持って川内の元に戻った。

「せんせーどうだった!?」
「綺麗にできてたぞー。ほら」
「ホントだぁぁああああ!!」

 印刷したプリント『新春鎮守府餅つき大会のお知らせ』を川内に渡す。受け取った川内はみるみる笑顔になってきて、キラッキラに輝いた眼差しでプリントを嬉しそうに眺めていた。

「で、このブリントの出来も良かったし、そろそろ先に進もうか」
「りょうかい!」
「でもその前に、後半の授業で最後のプリントを作ってもらうけどな」
「えー……あ、そうだせんせー」
「お?」
「参考にしたいからさ。同じプリントをせんせーが作ったらどうなるか見せてくれる?」

 俺が渡したプリントを自分のバッグに入れた川内が、俺の方をまっすぐ見てそんなことを言ってくる。俺が作ってる様子ったって……別にこいつと作り方は変わらん気がするが……

「いいじゃんいいじゃん! せんせーが夜戦してるとこ見てみたいの!」
「だから夜戦じゃないっつーに……そもそもなんで俺が作ってるとこ見たいんだよ?」
「いや、だってさ。私ってまだ習ったばかりでしょ?」
「うん」
「作ったプリント見てさ。せんせーは『綺麗に出来たぞー』て褒めてくれてるけど、お手本みたいなのがないから、自分のやり方が正しいのか、いまいち自信が持てないんだよね」

 『やり方もクソも、出来上がったものが同じなら気にしなくていいだろうに』とは思ったが……確かに褒め言葉だけ受け取っても、本人からしてみれば、案外不安が残るのかもしれん。他の人のやり方……たとえばお手本となる人がプリントを作ったとして、その作り方が自分と同じ作り方だったりすると、『よかった。間違ってないんだ』て安心出来るかもなぁ。

 それにしてもこのアホ、自分の作業内容の検証と比較を求める辺り、ただのアホというわけでもなさそうだ。

「んー……」
「いいでしょー?」
「……しゃーない。んじゃ、休憩が終わったら俺も同じものを作ってみるから、隣でよく見とけよー」
「やったありがと! せんせーの夜
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