暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
少しは妹を見習ったらどうだ?

[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ごとき温かい気持ちで、Excelを導いてやる必要がある。そのために、計算式を入力するときはまず『=(イコール)』を入力する」
「はい。計算式の時は、まずイコールですね」

 さすがだ……おれなら即座に突っ込みを入れるところを、神通さんは何食わぬ顔で聞き流してメモを取っている。だてにあの姉の元で揉まれたわけではないようだ。

――やせーん!!!

 反射的にあのアホの魂の叫びを思い出し、俺は心の中で自分の耳を塞いだ。

「そうだ。計算式は、数値を直接記入する方法と、数値が入力されているセルを指定する方法の2種類がある」
「どのような違いが……?」
「数値の直接記入は、文字通り数値を直接指定する。一方でセル指定の場合は、『このセルとこのセルに入力されてる数値を使って計算してね』と指示している。そこに違いがある」

 そういうとソラール先輩は、A3とB3、二つのセルにそれぞれ『=10+20』と『=B1+B2』の計算式を入力していた。その様子を至極真剣な眼差しで見つめる神通さん。……なんだかシュールに見えるのは俺だけか。続いてB1とB2のセルに、それぞれ10と20の数値を入力している。結果、A3とB3のセルに表示される答えは、同じ30。

「……ここまでは結果は同じですね」
「そうだ。……神通、B1とB2のセルの数値を、好きな数値に変更してみてくれ」

 言われるままに、二つのセルの数値をそれぞれ40と60に変更した神通さんは、画面を見てハッとしていた。すんごい真剣な表情だから、なんだかシュールな光景に見えて仕方がない。

<i6853|34044>

「B3に表示されていた数が……変わった……?」
「そのとおり。これが違いだ。セル指定で計算式を作成した場合、セルの数値を変えてあげれば、Excelはきちんとその数値で再計算した答えを表示してくれる」
「これは……」
「貴公にもあるはずだ。必要最低限の装備だけで病み村を攻略し、混沌の魔女と相対した時、炎派生した武器しか持っておらず、ジリ貧の戦いとなってしまったことが……それが数字ベタ打ちの計算式だ。つまり、融通が効かない」
「なるほど。まったく準備していない状況で、陸上型の深海棲艦に攻めこむことに等しいということですね?」
「そうだ。だがセル指定をしておけば、たとえ後から数字を変更しなければならん場合でも、変更が容易だ」
「これは便利……私も戦いやすくなります……ッ!」
「ああ。まるで、その愛情で俺達を暖かく包み込む、太陽のようだ」

 あれ……変な方向で会話が噛み合い始めたぞ……? ソラール先輩も最初っから『融通が効かない』といえばいいのに、その前のケッタイな例え話は何なんだ……。

「神通殿は理解が早い。このまま研鑽を積んでいけば、太陽の戦士となれる
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ