何でも太陽と夜戦で片付けようとするのはやめろ
夜
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、これまで戦い一辺倒だった川内妹は、いい機会だからExcelを習いたいと思ったらしい。基本的に仕事が休みの日のお昼に通いたいそうで、川内と時間がかぶることはないそうだ。それだけは一安心だ。
――せんせー!! やせんやせーん!!!(姉)
――わたしもやせん!! せんせー!!! やせんやせんやーせーんっ!!!(妹)
川内が二人……想像するだけでうるさい。俺の妄想のはずなのに、すでに耳鳴りがし始めている。そのような事態に陥らないだけでも御の字だ。
「んじゃ本人に言っとくね! 明日は休みだし、あとで話してみて!!」
「はい。かしこまりました」
「じゃあ大淀さんお疲れさま!! せんせーも!!!」
「はい。お疲れ様でした」
「おつかれー」
一通り話を終え、川内は昨日のように、体中からウキウキとかるんるんとか、そういうノリノリな雰囲気を漂わせながら、『やっせんー!! 家に帰ってやっせんー!!』と作詞作曲川内のイメージソングを口ずさんで帰っていった。あのエネルギーは一体どこから湧いて出てくるのだろうか。
「……つぁっ」
川内が帰った途端、体中に疲労がほとばしる……まさかあの無尽蔵のエネルギー、俺から吸収しているわけではないだろうな……。
「お疲れ様でした」
「お、お疲れ様です……」
そんな俺の様子を、ちょっと困ったような笑顔で眺める大淀さんは、そのまま自分の席に戻り、パソコンのキーボードをパチパチと叩き始める。川内の妹の件を記録に取っているのかな?
……そういや、あの夜戦バカが妙なことを言っていた。
「大淀さん」
「はい?」
「さっき川内が『あとで話してみて』って言ってましたけど」
「はい。あとで本人に電話かけてみようかなと」
「川内の妹とは知り合いなんですか?」
だよなぁ。顔見知りじゃないと、川内の口からあんなセリフは出てこない。それに、今の時刻は午後9時で、夜も遅い。こんな時間から話が出来るってことは、それなりに仲のいい相手じゃなきゃ気が引ける。
「知ってるも何も、私たちは元々同じ鎮守府に所属してましたからね」
「あ、なるほど。その時の仲間ですか」
「何度も一緒に戦った、かけがえのない仲間です」
そら仲がいいはずだ。大変な時を一緒に切り抜けた友達って、その後はめっちゃ仲良くなるもんな。
「そんなわけで、今日は先に上がって下さい。私は電話をかけますんで」
「了解です。でも、クローズ業務はさせてもらいます。早く慣れたいですから」
「はい。お願いします」
俺の提案に対し、大淀さんはニコッと微笑んでくれた。その笑顔は、思わず空耳で天使の賛美歌が聞こえてくるほど、神々しい。
「ぽー……」
「? どうしました?」
「あ、いやなんでもない
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