何でも太陽と夜戦で片付けようとするのはやめろ
夜
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ピング練習の流れだ。
「慣れないうちは、その◆の部分で変換キーを押して、漢字変換するといい」
「わかった!」
「慣れてきたら、自分が変換したいタイミングで変換してみ。漢字変換のリズムは各々違うから、色々試して自分が一番気持ちいいリズムを見つけるんだ」
「了解したよ!!」
はじめこそ右手人差し指一本でゆっくりゆっくりタイピングをしていた川内だったが、次第にそれが両手一本指になり……中指を使い始め……薬指が動き出していた。やはりかな入力は最初の取っ掛かりが早い。ローマ字表でいちいちアルファベットの組み合わせを確認しなくてもいいし。日本語の入力に絞るのなら、ローマ字入力にこだわる必要もないだろうし。
ある程度スピードが出てきたところでタイピングドリルは終了。これは授業の半分を使って、これからも練習をしていく。今慌てて練習しなくても、イヤでも今後続けていかなきゃいけないものだし。
「んじゃドリルはここで終了だー」
「ふぃ〜。がんばったっ!」
「おつかれさん。後半は本格的にWordをやってくから、ちょっと身体ほぐしたりしてきな。疲れたろ?」
「了解! んじゃ行こっかせんせー!!」
……どこへ?
「え……今なんて?」
「え? だって身体ほぐすんでしょ?」
「うん。だから行ってきなって」
「私一人で?」
「おーいえー」
「身体ほぐす?」
「あーはん」
「夜戦なのに?」
「夜戦じゃないっ」
俺の拒絶をさして気にする様子もなく、川内は『わかった』と一言だけ言うと、『ばひゅーん』と音を立てて、教室から走って出て行った。元気だねー……若さってすごいねー……
俺はというと、二回ほど屈伸した後、事務所の自分の席に戻り、Accessを開いて川内の項目にここまでの進捗と備考を入力していく。
「お疲れ様です」
「はい」
自分の席から立ち上がった大淀さんが、川内の備考に『※かな入力』と付け加えた俺をねぎらってくれる。川内のやせ……授業に気を取られていて気が付かなかったのだが、いつの間にか大淀さんはケトルでお湯を沸かしていたようだ。立ち上がった大淀さんがお茶を淹れてくれ、俺の机の上に湯呑を置いてくれた。
「ありがとうございます」
「いえ。私も飲みたかったですから。そのついでに」
その心が感激なんです大淀さんッ!! あなたのその『ついでに心遣い』の精神が、何よりも神々しいんですっ!!
「川内さん、かな入力を選んだんですね」
「ええ。本人がああいうのなら、別にいいかなと」
「カシワギさんもかな入力なら、困ることはなさそうですし。大丈夫でしょう」
「はい」
「これはもう、ますます川内さんの担当は、カシワギさんで揺るぎないですね」
俺の背後から川内の備考欄を覗き込
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