暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
何でも太陽と夜戦で片付けようとするのはやめろ

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な入力を習得してもらうことになった。習得って言っても、さしあたって何か教えるわけじゃないし……

 ……あ、でも一つだけ。かな打ちやるなら覚えとかなきゃいかん操作がある。

「とりあえず川内。かなうちをやるなら、まずこれを覚えとけ」
「ん?」
「かな入力とローマ字入力ってな。Altキーと、“カタカナひらがな”キーの同時押しで切り替えられるんだ」
「へー」
「共用パソコンなんかは基本的にローマ字打ちだから、そんなパソコンを操作しなきゃいかんときは、こうやって切り替えろ。ちょっとやってみ」
「ほいほい」

 俺の指示を受け、川内はAltキーと“カタカナひらがな”キーを押してはキーボードを叩き、かな打ちとローマ字打ちを切り替えていた。かな打ちに切り替わるたびに顔がキラキラと輝き、ローマ字打ちに切り替わる度に顔がしょぼくれる……そんな無意味なサイクルに、俺の心は妙に荒んた。

 俺の経験則から言うと、かな入力とローマ字入力の切り替え方法は、かな打ちストにとっては必須技術の一つだ。このワザは、巷では使う頻度は少ないが、その分知ってる奴は少ない。それに、世の中のパソコンの大半はローマ字入力。かな打ちストにとっては、この操作のお世話になることが非常に多い。

 加えて、タイピングをしている最中で知らないうちに入力を切り替えてしまうなんてのは、パソコン初心者によくあるトラブルだ。そんな時に、この技を知ってるのと知らないのとでは、トラブルシューティング力に雲泥の差が出る。

「そんなわけで、こいつはかな打ちストの必須技術だ。かな入力をやってくんなら、ちゃんとおぼえておくようにっ」
「はーい」

 Altキーと“カタカナひらがな”キーの切り替えを教えたら、今度は本格的にタイピングの練習だ。と言っても、さっきも言ったが、本職でない限り、知識として覚える必要があるものはほとんどない。せいぜいホームポジションの存在を知っとくと色々捗るぐらいだ。それすら、“知っとくといい”レベルで、タイピングに必要なものは、知識よりも慣れだ。

「ぶっちゃけタイピングって頭で学ぶよりも慣れなんだよ。とりあえず記事をいっぱい持ってきたから、ひたすらガンガンタイピングしてみ」
「了解! 練度を上げたきゃひたすら夜戦するのが一番だもんね!!」
「いい加減夜戦にすべてを収束させていくのはやめろ」

 タイピングの練習に使用するもの……とれは、この教室で『タイピングドリル』という名前がつけられた一連の文章課題だ。

『今日は、◆天気が◆よかったので、◆公園に、◆桜を◆見に行きました』

 こんな感じの短めの文章をまずは練習していく。慣れて来た頃から次第に文章が長くなっていき、最終的に新聞記事の切り抜きぐらいの長さの文章を打っていく。それがこの教室のタイ
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