暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
何でも太陽と夜戦で片付けようとするのはやめろ

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かな入力だ」
「2回目のやせん……ッ!!」
「さっきと比べてどうだ?」
「さっきのよりわかりやすいかも」
「今後はどっちでタイピングをやっていくか、まずは決めなきゃいかん」
「どっちがいいの?」
「どっちもどっちだとは思うけど、ローマ字入力をやる人の方が圧倒的に多いな。かな入力は絶滅寸前だ」
「へー……」

 ここで俺は、『ローマ字入力』と『かな入力』の利点と欠点について簡単に説明してみたが、川内はいまいちピンときてないようだった。まぁいきなりこんな説明されてもなぁ……。

 ローマ字入力は、指にクセ付けるキーの数が少ないのが、何よりもいい。加えて母音のAIUEOさえ覚えてしまえば、たちまちタイピングのスピードが実用レベル近くまで上がる。その分、ローマ字の組み合わせを覚えなきゃならんのがデメリットか。

 対してかな入力は、何よりもキーにプリントされた通りに打てばいいわけで、ローマ字入力よりもとっつきやすい。加えて『でぃ』とか『どぁ』とか『ヴぁ』みたいな、普段あまり使わない組み合わせのひらがな入力も直感的に分かる。ただその分、指にクセ付けるキーの数がべらぼうに多く、さらにアルファベットはアルファベットで別に覚えなきゃいけないのがデメリットだ。おかげで今では、ワープロ時代からタイピングをやっている猛者共に代表される、一部の人間しか利用してないタイピング方法だ。

「よく分からんなら、ローマ字入力でいいと思うぞ?」
「ちなみにせんせーはどっちなの?」
「俺はかな入力だ」
「やってる人少ないのに?」
「ひらがな一文字打つのにキー二回叩くのがまどろっこしいんだよ……」

 あのクソ会社にいた頃は、よく言われたよ……『プログラマーがかな入力だなんて、お前アホだろ』ってあのクソ課長にな……俺から言わすと、プログラマーこそかな入力やれよと思うんだけど。早さじゃなくて労力の問題でさ。とはいえ文字が打てりゃどっちでもいいんだけどさ。こんなもんは。

「じゃあ私もかな入力でやろうかなぁ」
「使うキーがたくさんあるから大変だけど、大丈夫か?」
「えー。私どっちがいいかとかよくわかんないし」
「んじゃ素直にローマ字……」
「でもせんせーもかな入力なんでしょ?」
「まぁ……なぁ」
「だったら弟子の私は師匠と同じ方選びたいし」

 とんでもないべっぴんさんに言われた、ものすごくうれしい言葉のはずなのだが……なぜか俺の胸には、虚無感しかなかった。俺の心には、今時分の外のように、悲しく冷たい秋風が吹いていた……。

「まぁ、あとで路線変更もできるしな。んじゃかな入力でタイピング練習するか」
「了解! これからはせんせーが僚艦だあ!!」
「さっぱり意味が分からん……」

 というわけで、このご時世では珍しく、川内にはか
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