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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十八話 最悪の予想
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「どんな奴だ、出来るのか」
ワイドボーン准将の重ねての問いかけに准将の苦笑がさらに大きくなりました。
「柔軟性は無いですね、常識的な発想が主で臨機応変に対応できない。注意は必要でしょうが恐れる事は無いでしょう。帝国軍が彼の作戦で動くのならその動きを読むことは難しくない」

准将のその言葉に皆が顔を見合わせました。ワイドボーン准将もヤン准将もバグダッシュ大佐も頷いています。ヴァレンシュタイン准将の人物評価が外れたことはこれまでありません。勝てると思ったのでしょう。

「遠征軍の艦隊編制、将官以上の地位にある人間のリストも判明次第お渡しします。もう少しお待ちください」
ヴァレンシュタイン准将は頷くとまたファイルに視線を向けましたが直ぐにファイルをバグダッシュ大佐に差出し訝しげな声を出しました。

「……バグダッシュ大佐、このリストは? 遠征軍の参加者ではないのですか?」
「お気付きになられましたか、彼らはオフレッサー元帥府に新しく参加した人物です。少々気になる名前が有ります、確認していただけませんか……」

その言葉にヴァレンシュタイン准将の表情が変わりました。ファイルを睨み据え厳しい表情をしています。
「どうした、ヴァレンシュタイン?」
ヴァレンシュタイン准将の様子にワイドボーン准将が声をかけました。ヴァレンシュタイン准将が乱暴にファイルを差し出します。

ワイドボーン准将は無言でファイルを受け取ると声を出して読み始めました。
「アルベルト・クレメンツ、エルネスト・メックリンガー、アウグスト・ザムエル・ワーレン、エルンスト・フォン・アイゼナッハ、ナイトハルト・ミュラー、ウルリッヒ・ケスラー……、おい、この名前は!」

ヴァレンシュタイン准将だけでは有りません、ワイドボーン准将もヤン准将もバグダッシュ大佐も厳しい表情をしています。そして多分私も同じ表情をしているでしょう。

以前准将が言った帝国で本当に実力のある人達です。その彼らがミューゼル少将の下に集まりつつある……。元帥府に集まりつつあるという事はオフレッサー元帥の了承の下、集められたという事でしょう。それが何を意味するのか?

おそらくオフレッサー元帥はいずれは自分が宇宙艦隊を率いるときが来ると考えているのだと思います、そのために必要な人材を確保しようとしている。どうやらヴァレンシュタイン准将が言った最悪の予想が現実になりそうです……。





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