暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十八話 最悪の予想
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

准将の言葉ですが、確かに准将ほど相手の心を的確に読んで作戦を立てる人はいません。その事はヴァンフリートで、イゼルローンでよく分かっています。

忙しいです、とっても忙しいです。情報部から開放されほっとしたのもつかの間、私とグリーンヒル少尉はヴァレンシュタイン准将の直属の部下として日々仕事に追われています。これまでやっていた補給関係の書類の確認の他、宇宙艦隊への周知文書の作成、連絡、会議資料の作成等の作業を行っています。

ヴァレンシュタイン准将は私達を鍛えようとしています。有りがたい事です。バグダッシュ大佐の口添えが有ったようですが、准将も忙しいのですから断ることもできたはずです。それなのに私達のために時間を割いてくれる……。グリーンヒル少尉とも話したのですが頑張らなければと思っています。

ここ最近ではヴァレンシュタイン准将の口利きでヤン准将とシミュレーションをしています。ヴァレンシュタイン准将曰く、“自分は忙しいからそこの暇人に鍛えてもらいなさい” 私も少尉も散々な結果ですが大変勉強になります。改めてヤン准将の凄さも理解できました。

三日前はヴァンフリートに基地を造る時の輸送計画の説明をしてくれました。私もグリーンヒル少尉もその複雑さにただただ感心して聞いていると“感心していないで少しは覚えなさい”と怒られました。もっとも准将は声を荒げるような事は有りません。冷たく見据えられるだけです。でもその時は身が竦みます。

今も私とグリーンヒル少尉は身を竦めています。先程バグダッシュ大佐から連絡が有り、帝国側の動きが有る程度分かったらしいのです。もうすぐバグダッシュ大佐が情報を持ってくるのですが、連絡が有ってから明らかにヴァレンシュタイン准将は緊張を漂わせています。

ドアを開けてバグダッシュ大佐が入ってきました。早足でヴァレシュタイン准将に近づいてきます。准将が椅子から立ち上がりました。ワイドボーン准将、ヤン准将も席を立って近づいてきます、やはり関心が有るのでしょう。バグダッシュ大佐が脇に抱えていたファイルをヴァレンシュタイン准将に渡しました。
「帝国軍の司令部の編成が分かりましたぞ」

准将がファイルを受け取り内容を確認します。皆が准将を取り囲みました。
「力を持っているのはシュターデン少将のようです。クラーゼン元帥も彼を頼りにしているとか」

「シュターデン少将……、知っているか?」
ワイドボーン准将が窺うような口調で問いかけました。
「知っていますよ、士官学校では教官でしたからね。お前は戦術の重要性を理解していないと随分嫌味を言われました」

准将はファイルを読むのを止め苦笑していますが、ちょっと驚きです。准将に嫌味を言うような人がいる? とても私には考えられません。帝国には凄い人がいるようです。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ