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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十八話 最悪の予想
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のはもうやめたいと何度か異動願いが出ていたのです。ワイドボーン准将に閣下を疑うなと言われたことも堪えたようです」
「……」
ワイドボーンか、まあ何が有ったかは想像がつく。それに例のフェザーンでの盗聴の件も有った。若い女性には厳しかっただろう。味方だと思っていた人間に裏切られたのだから……。
「彼女は今回正式に宇宙艦隊司令部の作戦参謀になります。情報部は以後彼女とは何の関わりも有りません」
「……」
本当かね、手駒は多い方が良い、本人は切れたと思っても実際には切れていなかった、なんてことはいくらでもある。彼女が協力したくないと思っても協力させる方法もいくらでもあるだろう。
「それを私に言う理由は?」
「彼女を司令部要員として育てていただきたいのです」
「……」
なるほど、そう来たか。関係は切りました、そう言ってこちらの内懐に食い込ませようという事か。しかしちょっと拙劣じゃないのか、見え見えだろう、バグダッシュ。思わず苦笑が漏れた。
「お疑いはごもっともです。しかしこれには何の裏も有りません。信じてください」
はい、分かりました、そんな答えが出せると思うのか? 俺の苦笑は酷くなる一方だ。
「彼女をキャゼルヌ准将の所に送ることも考えました。彼女からはそういう希望も出ていたんです。しかしそれでは閣下の周りに閣下の事を良く知る人間が居なくなってしまう……」
今度は俺のためか……。
「こんな事を言うのは何ですが、閣下は孤独だ。我々がそう仕向けたと言われれば言葉も有りません。だから……」
「だから彼女を傍にと?」
「そうです、他の人間では閣下を怖がるでしょう。彼女ならそれは無いと思います」
「……」
不愉快な現実だな、俺はそんなに怖いかね。まあ怖がらせたことは有るかもしれないが……。
「ミハマ少佐は階級の割に司令部要員としての経験を積んでいません。本人もその事を気にしています。自分が此処に居る事に不安を感じている。彼女を後方支援参謀として作戦参謀として育ててはいただけませんか?」
「育ててどうします?」
「いずれ閣下を理解し、支える士官が誕生する事になります。これからの帝国との戦いにおいて、ミューゼル少将との戦いにおいて、必要ではありませんか」
「……」
宇宙暦 795年 2月 5日 ハイネセン 宇宙艦隊司令部 ミハマ・サアヤ
ここ最近ヴァレンシュタイン准将は星系図を見ている事が多いです。ヴァンフリート、ティアマト、アルレスハイム、パランティア……。次の戦争はそのいずれかで行われると見ているのでしょう。准将が今何よりも知りたがっているのは帝国軍の総司令部がどのような人達によって編成されるかです。
“戦争というのは或る意味心理戦の部分が有りますからね
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