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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十八話 最悪の予想
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ューニヒト、レベロ、シトレの三点セットだって十分我慢できる。ホアンがおまけでついても問題なしだ。それにあいつらの顔を見ていると妙に腹が減る。サンドイッチが美味しいんだ。

「ヴァレンシュタイン准将、ミューゼル少将が遠征軍に参加した場合、どの程度危険かね」
俺に聞くんじゃない、俺は目を開けてテーブルを睨んでいるんだ。目を閉じて船を漕いでいる奴に質問しろ。

食堂は止めだ、売店に行ってサンドイッチを買ってこよう。そのほうが良さそうな気がする。飲み物はオレンジジュースだ。それにしてもシトレの野郎、ヤンには甘いんだよな。奴が寝てても文句を言わない。俺なんか夜中一時過ぎまで仕事をさせられるのにえらい違いだ。

やっぱりさっさと昇進させて一個艦隊を預けるべきだ。そうじゃないとヤンはいつまでも非常勤参謀のままに違いない。ついでにフレデリカも付けて公私ともに充実させてやる、寝ている暇が無いくらいにな。幸せ一杯胸一杯だろう。最後はラインハルトと直接対決させて用兵家として最高の幸せを味あわせてやる、頑張れ!

「危険の度合いはミューゼル少将の意見が遠征軍においてどの程度重要視されるかで変わってきます。彼がただの実戦指揮官であると言うのなら厄介ではありますが同盟軍が帝国軍に勝つ可能性は有ります」
「それで?」

「もし彼の意見が全面的に受け入れられるのであれば、同盟軍に勝ち目はほとんどありません。損害を出来るだけ少なくして撤退することを勧めます」
俺の言葉にシトレが苦笑した。他の連中は顔を顰めている。そしてヤンだけは昼寝だ。

ラインハルトは少将に昇進した。率いる艦隊は多分三千隻程度だろう。厄介な存在ではあるが致命的な存在ではない。取扱に注意すれば十分にその脅威には対応可能だ。ラインハルトが実戦指揮官にとどまるのであれば帝国軍に勝つことは不可能じゃない。

「身も蓋も無い言い方だな。他に手は無いのかね」
「そこで寝ているヤン准将がやる気を出してくれれば多少は勝ち目が出ます。起こしますか?」

シトレが渋い表情でヤンを見た。ワイドボーンがヤンを小突く。ヤンが“なんだ?”と言うような表情を見せた。頭痛いよ、これで本当に奇跡が起こせるのか? その方が奇跡に思えてきた……。はやくヤンに一個艦隊を指揮させよう、そうじゃないと俺までヤンを非常勤参謀とか罵りそうだ。

問題は遠征軍司令部が、クラーゼンがラインハルトの意見を受け入れるかどうかだ。多分ラインハルトの意見が受け入れられることは無いと思うんだがな。ラインハルトはエリートからの受けは良くない。ついでに軍上層部からの受けも良くない。彼が孤立しているのであれば問題は無い……。

気になるのはオフレッサーの元帥府にラインハルトが入ったことだ。ラインハルトを無視はできてもオフレッサーは無視できない
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