暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
先輩は変な奴 担当生徒も変な奴

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ゃ、テキスト通り進めていくかー」
「はーい」
「んじゃ川内、右手でマウスを持ってくださーい」
「こう?」

 川内は俺の指示に従い、マウスを持ち上げ、底面の青色LEDの光を俺のおでこに向けて照射してきた。……うん。確かに初心者だこりゃ。マウスの使い方なんか、テレビとか見てるとドラマのワンシーンとかで出てきそうなものだけどな。

「えーと……そういう風に使うんじゃないだよマウスってのは」
「へー……探照灯みたいに、この光で物を照らす道具だと思ってた!」
「その探照灯ってのが何なのかわからんけれど、とりあえずマウスを机の上に置こうか」
「はーい」
「置いたら、とりあえずそのままマウスをこう……円を描くようにぐるぐると机の上で動かしてみ」
「こう?」

 デスクトップに表示されたマウスポインタが、川内の動きに合わせてぐるぐると動く。川内にとってはこれがとてもおもしろかったようで、目をランランと輝かせながら、時計回り、半時計回りとマウスをぐるぐる動かしていた。一体何が面白いんだ。

「ぉお!」
「これがマウスだ。パソコンってのは、これとキーボードを使って操作をしていくものだ。だからまず何よりも、このマウスの操作方法を覚えて欲しい」
「なるほどぉ」
「マウスの操作方法は色々あって、まずは今みたいにただ矢印を動かす。ボタンを押す『クリック』、ボタンを押したままマウスを動かして対象をズルズルと引きずる『ドラッグ』がある」
「ほうほう」

 こうして、この『夜戦バカ』川内と俺の、魅惑の初心者向けパソコン講座が幕を開けた。

 この川内という子、根は悪い子ではないんだが……やはりソラール先輩と同じく『夜戦』とやらに相当なこだわりがあるようで……

「クリックにも3種類ある。対象の上に矢印を持ってきて左ボタンを一回押す『クリック』、同じく対象の上で左ボタンを素早く二回押す『ダブルクリック』、そして対象の上で右ボタンを一回押す『右クリック』だ」
「分かった! 夜戦で言う通常攻撃と連撃とカットインみたいなもんだね!」
「ようわからんし、多分違うと思う」
「えー。だってそうじゃん。一回押すから通常攻撃、二回押すから連撃で、右ボタンを押すからカットインでしょ?」

 こんな感じで、こちらの説明をいちいち夜戦に例えて理解しようとしてくる。そもそも夜戦をやったことがないから同意できんし、よしんばやったことがあっても同意したくない……。そしてウィンドウのサイズ調整の話をしている時も、

「ウィンドウを右端までドラックしてみ」
「えーと……こう?」
「そうそう。もっともっと右にずいーっと」
「画面からはみ出ちゃうよ? どこまで?」
「マウスの矢印が画面端に触れるまで」
「ふれ……ぉお!?」
「こうやって画面の右端か左
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