暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
先輩は変な奴 担当生徒も変な奴

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るのやめてもらっていいですか」

 しかし冷静に聞いてみると、確かにこれは大切な情報だ。俺は今まで、最低限のパソコン操作に慣れ親しんだ人たちばかりを相手にしてきたわけだが……これから相手をするのは、まったくのパソコン初心者。俺にとって当たり前の操作でも、その人たちにしてみれば、恐ろしく難易度の高い特別な操作になるということか……。

 このソラールという先輩、確かに頭のイカレた格好をしているし言っていることにいちいち太陽を絡めてくる妙な人だが、根はいい人のようだ。バケツみたいな兜のせいで表情はわからないけれど、言葉の端々には熱っぽさもある。先輩はこの仕事に対し、誇りを持っているようだ。自身の仕事に誇りを持つ……素晴らしい人だ。

「先輩、ありがとうございます」
「ん?」
「大切な事を教えていただきました。先輩の話を聞かなかったら、操作が出来ない生徒さんに対し、いらだちを感じていたかも知れません」
「そういってくれると俺も嬉しい。貴公も俺と共に、太陽のようにでっかく熱くなってくれ」
「それは結構です」
「貴公……」

 その後一時間ほどソラール先輩の説明を聞き、実際にブートローダーの利用方法も確認させてもらって、オリエンテーションは終了した。

「同じ太陽の戦士として、期待している」
「太陽の戦士ではないですが、期待に添えられるようがんばります」
「その意気だ! 大淀もお疲れ!」
「はい。ソラールさんもお疲れ様でした。また明日」

 オリエンテーション終了後のソラール先輩は、『では失礼する』とY字ポーズを取った後、そのコスプレの衣装に身を包んだまま教室を後にした。あんな格好で職質受けたりとかしないのか?

「以前はよく捕まってたらしいですけどね。最近は『ぁあ、あいつはいいんだよ』的な感じらしいですよ?」
「日本社会に馴染み過ぎでしょ太陽の戦士……それでいいんですか警察機構は……」
「見ての通りあの朗らかな性格ですから。うちの教室での貴重な戦力ですし」
「ハァ……」
「講師としても素晴らしい人ですしね」

 それは分かる……分かるけど……まあいいか。大淀さんと共に、帰宅する太陽戦士の背中を見守る。しばらく眺めていると、時折無駄に前転しているのは何なんだ。しかも鎧が重いのか、うまく前転しきれずに背中からどっすんという感じで着地してるし……。

 だが、俺は運がいい。ソラール先輩と大淀さん。この二人が同僚なら、ここでの仕事はとてもやりやすいだろう。職場の人間関係は、健全な勤務に多大な影響を及ぼす。この職場の人間関係は、決して悪いものではないといえるだろう。

 それに、講師が全員そろっても3人という少人数なら、人間関係の軋轢みたいなものも生まれないはずだ。特にこの二人が同僚なら、そういう心配もないはずだ
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