暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
先輩は変な奴 担当生徒も変な奴

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送るソラール先輩。結局、授業風景はまったく頭に入らなかった……。

「貴公もお疲れ様」
「お、お疲れ様です」
「こんな感じで日々の授業を行うわけだが……授業の進め方の参考になったかな?」

 参考どころか、アンタのよく分からん格好のせいで、何も頭に入ってねーよ……。

「ま、まぁなんとか」
「それはよかった。では引き続き、貴公のオリエンテーションに入る」

 そうして今度はオリエンテーションに入ったわけだが……正直、このソラール先輩が何を説明しているのかがさっぱり分からない……いや、言いたいことは分かるが、気が散って仕方がない。だってさー……

「まず何よりも、相手は何も知らぬ初心者だということを念頭に入れることが大切だ」
「はぁ……」
「貴公にとっては当たり前の操作でも、相手にとっては不安が一杯の初体験……たとえば電源を入れる操作一つとっても、生徒からしてみれば、深淵の中を敵の不意打ちに怯えながら進むことと同義」
「な、なるほど……」
「ならば我々は、太陽のように彼らの道を照らし、暖かく見守り、フォローをしなければならん」

 こんな感じで、喩え話がいちいち婉曲で分かりづらい。言いたいことは伝わるのだが、付随する余計な比喩が、俺の理解の邪魔をする。

「作成したデータを保存させる際にも注意が必要だ。この教室では、生徒ひとりひとりに保存フォルダが準備されている。それらはすべてネットワーク上にある」
「パスを教えてくれますか?」
「マイドキュメントに保存フォルダへのショートカットを作成してある。保存の際には、まずそのショートカットをダブルクリックさせればいい」

 言われるままに、マイドキュメントを開いてみた。確かに見慣れない『受講生用保存フォルダ』というショートカットがある。試しにダブルクリックしてみると、名字の五十音順に振り分けられたフォルダが並んでいて、なるほどここが保存フォルダかと一目で分かる仕組みだ。しかし、これのどこに注意するべきなのか。

「そもそも生徒の中には『フォルダ構造』という概念を理解していない者も多い。故に自分専用の保存フォルダを指定するという操作を、覚えることが出来ない生徒もいる」
「……」
「貴公も入り組んだ区画で篝火に戻ることも出来ず、ショートカットも見つからず、帰るに帰れない状況に陥ったことがあるはずだ。データ保存の際の生徒たちは、ちょうどそんな状況だ。最下層の奥底でバジリスクの群れに囲まれ、動くことが出来ぬ不死……それが生徒だ」
「言っている意味がいちいち分かりませんが」
「だから俺達という存在がある。生徒たちを暖かく見守りフォローをして、いざという時の道標にならなければならない。いわば、俺達は生徒たちにとっての太陽……ッ!!」
「毎回喩え話で強引に太陽に結びつけ
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