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大淀パソコンスクール
プロローグ
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して、それを走らせるだけで、アドレナリンがドバドバ分泌されてたあの頃の気持ちが、ふつふつと持ち上がってきた。

 『採用情報』の項目があった。逸る気持ちを抑えながら、そのリンクをクリックする。講師募集……今も募集中のようだ。応募する場合は、このページの専用フォームに必要な情報を記入して、送信ボタンを押せばいいらしい。

「パソコンの先生か……面白そうじゃないか」

 本当におれにそんなことが出来るのかは分からない。けれどここなら……この教室なら、嫌いになってしまったパソコンを、また好きにさせてくれるかも知れない。俺は、ワクワクする胸をなんとか抑えつつ、氏名のフリガナの部分に『カシワギ』と自分の名前を入力していった。

……

…………

………………

「へぇ〜……そんな経緯があったんですね」

 大淀さんが、自分のパソコンを叩きながらそうつぶやいた。アンダーリムのメガネの位置をくいっと整える彼女の所作は、まさに『デキる秘書』という雰囲気が漂っていて、見ていてとても気持ちがいい。

「意外ですか?」
「ええ。バリバリのプログラマーさんが、どうしてうちのようなパソコン教室の講師になろうと思ったのか疑問でした。そういう方は最先端を追いかけるものだとばかり」
「最先端はもういいです。それよりも、『パソコン面白い!!』て気持ちを思い出したくて」
「なるほど」

 借り受けたWordのテキストを閉じ、それを自分のバッグの中に投げ込んだ。そのバッグには、Officeのテキスト一式と、勉強用のノートパソコンが一台入っている。

 あのあと講師の募集に応募した俺は、オーナーと思しき男性の面接を経て、晴れて『大淀パソコンスクール』の講師の職に就くことが出来た。といってもアルバイトだし非常勤だから、そこまでの高収入は期待できないが。

 そして今日、俺は大淀さんから『勉強用に渡すものがある』と呼びだされ、こうして出勤したわけだ。出勤した俺を待ち受けていたもの。それは、サイトに掲載された写真に比べて、5割増ぐらいで美しい大淀さん本人と、この教室で使っているテキストが数冊、そして勉強用のノートパソコンだ。ノートパソコンにはWindowsのXPから最新の10までのバージョンすべてと、そのそれぞれにOfficeの2003から2013までがインストールされているものだ。

 面接前の俺の予想通り、この眼の前の美人の大淀さんは、この教室の教室長だとか。なんでも元艦娘で、その時は任務娘だとかいう、秘書みたいなことをやっていたそうで。おかげでパソコン……特にOfficeのスキルはかなりのものらしく、そのスキルを活かして今の職についたらしい。俺と大淀さんは、生徒同士の懇談用のテーブルにさし向かいで座り、そんなことを話していた。南向きの窓の
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