暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
プロローグ
[3/6]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
ットニュースは、その話題で賑わっている。

 艦娘ってのは、深海棲艦と戦ってくれてたやつらだ。なんでも、深海棲艦に対して有効なダメージを与えることが出来るのは艦娘だっただけらしく、戦時中はそれこそ、たくさんの艦娘たちが建造されていたそうな。

 そして戦争が終わった後、その艦娘たちは軍を除隊して、人間として社会に溶け込んでいく手はずだったらしいのだが……

 生まれてこの方、戦うことしかしてこなかった奴らが社会生活に溶け込むってのは、一般人が考えている以上に難しいらしい。艦娘の雇用問題は、今はちょっとした話題になっている。うまい具合に次の仕事を探したり、自分の上官と結ばれて幸せになったりする子たちもいる中、就職も出来ず社会生活に順応できない子もいるらしい。戦時中は一躍ヒーローだったのに、そのヒーローが、今では仕事に就くことも出来ないなんて、なんとも世知辛い話だ。とはいえ、今は俺もその求職者の一人に成り下がっているわけだが……。

 『艦娘の大和、大和ミュージアムの案内係に就職!』というニュースを傍目で眺めながら、俺は今日も仕事を探す。プログラマーは嫌だけど、IT系の職について、またパソコンが好きになりたい……でもプログラマーはイヤだ……そんなめんどくさい希望を叶えてくれる仕事なんてあるのだろうか……

 半ば諦めかけたその時だった。

「……大淀パソコンスクール……生徒募集……」

 就職情報サイトの、パソコン教室の広告が目に入った。

「パソコン教室……」

 何の気なしに、その広告をクリックしてみた。途端にブラウザに表示される、その大淀パソコンスクールのwebサイト。そのサイトでは、笑顔で楽しそうにキーボードを叩く、優しそうなおじいちゃんおばあちゃんたちの写真が掲載されていて、とても楽しそうな教室に見える。

「なるほど……パソコン教室か……」

 『仕事してた頃の俺とは全然違うなぁ』と思いながら、教室の案内を眺める。この『大淀パソコンスクール』は、パソコンのパの字も知らない超初心者向けの講座から、Officeを使った実践的な講座、本格的なプログラミング教室など、およそパソコンに関する幅広い授業を展開している教室のようだ。もっとも、今は高齢者の超初心者向け教室がメインなのだそうだが。

――あなたも、何でも出来る魔法の箱で遊んでみませんか?

 教室長と思われるメガネ美人、大淀さんという人の顔写真とともに、そんな文句が載っていた。

「遊ぶ……パソコンで遊ぶ……」

 久しく忘れていた感情が、胸にこみ上げてきた。プログラマーになってから今日まで、パソコンは俺の仕事道具になってしまったが……その前は、俺にとってのパソコンは、何でも出来るおもちゃだった。面白半分で下らないプログラムを組んでコンパイル
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ