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大淀パソコンスクール
プロローグ
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まだ仕事残ってるんだから!!!」

 課長はまだそんなことを言う。どうやらまだ事の重大さに気付いてないようだ……イライラが最高潮に達した。そこまで言うなら……

「……わかりました。じゃあ残りましょう」
「ホッ……」
「その代わり、今の俺は疲労困憊で注意力散漫です。うっかりミスでデータベースのレコード全部消すかもしれませんよ? クエリのSELECT文のつもりでうっかりDELETE文を打っちゃうかもしれないし、その時レコード指定にアスタリスク打つかもしれないですよ?」
「え……」
「ひょっとしたら、ついうっかりSSHでうちの本番サーバーにログインして、ついうっかり全データ消しちゃうかも知れませんよ? リムーブとかやっちゃってもいいんすか!? どうなんすか!?」

 これは脅しだ。俺は今、疲労困憊で意識が朦朧としている。おまけに怒り狂って前後不覚で、裁判で言うところの心神喪失状態だ。そんな俺に、ネットワークに繋がってるパソコンを使わせてみろ。何をしでかすか分からんぞ。重要なデータを消すかもしれんし……

「ちょ、ちょっと待て……」
「ついうっかり、ツイッターで会社名込みでこの会社の勤務状態をバラすかもしれませんよ?」
「い、いやあの……」
「いいんすか!? やっちゃいますよ!!? ……いいんすか!!!?」

 そうして何も言えなくなった課長と、その様子をボー然と見つめていた同僚たちを尻目に、俺は一人で家に帰った。後日、社長から『給料は支払わない』と訳のわからないメッセージが届いていたので、準備していた過去一年分のGPSログを労基に提出すると言ってみたら、黙って給料満額とプラスアルファが振り込まれた。

 こうして、俺の戦争は終わった。今は貯金と親からの仕送りで、なんとか食いつないでる状況だ。そろそろ新しい仕事を決めないと、金ももうすぐ底をつく。失業手当も、もらえるまではまだ時間がかかる。早く決めないと……。

 そんなことを考えながら、今日も俺はインターネットで職を探す。探してる職種はやはりIT系。ぶっちゃけ今はパソコンを視界に入れるのもイヤな状況だが、俺の職歴はこれしかない。やはり手っ取り早く職を探すなら、IT系しかないだろう。

 ……それに、俺はパソコンが嫌いになりたくてプログラマーになったんじゃない。好きだったからだ。だから、今のこの『パソコンなんて見るのもイヤっ』ていう俺の状況は、俺自身が我慢がならなかった。

「んー……とはいえ、プログラマーはもうなぁ……」

 職探しをしながら、ネットのニュースも時々覗いてみる。さっきも言ったとおり、長い間続いていた人類と深海棲艦の戦争も、先月、俺の戦争と同じように終わった。その結果、艦娘とかいうやつらの社会生活……特に雇用の面が問題になっているそうだ。今日もネ
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