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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Aパート】
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…破壊の獅子と成りて――
獅子と黒竜の憎悪の輪廻曲は、奏でられた。
今でも鮮明によみがえる、語り合った存在否定の言葉。

――お前たちが……大嫌いなんだよ!!!――シーグフリードが。

――何が!!!――凱が。

――オレの前で希望を語るから!!!夢を語るから!!全部ぶっ壊してやりたくなる!!!――

――お前は!!!!お前だけは!!シーグフリードォォォォォ!!!――

――死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!シシオウガイィィィィ!!!―――

――破壊!破壊!破壊!破壊!破壊してやる!この悪魔がぁぁぁぁ!!!――

――殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!!!――

そこに余計な感情は一切含まれていなかった。
憎悪と嫌悪の輪廻の輪をくぐり――
互いに互いを破壊する。ただ憎しみの衝動に従って、原子一つ残さず消滅させたいがために――
思い返せばそんなこともあったなと、シーグフリードは回想し、今ジスタートにいるという現実へ回帰する。

「シーグフリード君……では君は『東』での大戦『第二次代理契約戦争(セカンドヴァルバニル)』の主犯……その当人だというのかね?」

もう一人の眠れる獅子であるシーグフリードに、期待と不安を同時に感じ取るヴィクトール王。その感情を読み取ったヴァレンティナは、王の耳に追弁する。

「魔物や竜を『力』で飼いならす軍団長……という過去の点においては心配ないでしょう」

むしろ、もう一つのほうが心配だと言いたげだった。『心』において、彼はヴァレンティナですら掴みがたいところがあるからだ。
獅子王凱と対極の位置に座る男。その点においても、ガヌロンと同質のものと推測する。
一言に表せば残忍。
故に行いは全て冷酷。
味方にさえも及ぶ憎悪を、何人たりとも飼いならすことなどできはしない。
だが、この『│獅子と黒竜の輪廻曲≪ウロボロス≫』を遂行するには、銀髪の人物の協力が欠かせない。
国家転覆の危機を乗り越えるために、なりふり構っていられないかと、思ってしまう。

(これ以上、この場で話すことではないな――)

黒竜の代理たる王は、目前の戦姫に視線を配る。それで察したのか、ヴァレンティナが優雅な仕草で立ち上がる。同時に、王は『来賓』に語る。

「……シーグフリード君。どうしても話しておきたいことがある。来てもらえぬか?」
「――ええ」

このシーグフリードにしては珍しく、律儀な返事をした。その行為にヴァレンティナは目を丸くした。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










玉座の後ろにある秘密の通路。そこは、王の命に危機が訪れた時の緊急脱出用として用意されたものだ。
かんたんな
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