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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Aパート】
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想の持ち主だった。彼こそは元凶。王を人柱とする『西』の大陸にとって、何よりも危険な人物であり、何よりも――脅威的であった。
独立交易都市の初代市長にして狂える天才。四民平等と民主主義を唱えた近代国家の第一人者。
馬を必要としない馬車――『機乗車(ヴィークル)
遠地の景色をその場で映し出す箱――『幻影受像機(テレヴィジョン)
出来事や変化の流れを可視化した器具――『懐中時計(クロック)
極めつけは、数多の奇跡を引き起こす『祈祷契約』を発見したことだろう。それらは全てハウスマンが生み出し、見つけ出したものだ。
そのハウスマンと同じ姓を名乗るからこそ生まれる不安が、王たるヴィクトールにはあったのだ。

「ヴァレンティナよ。紹介してもらえるか?」

動揺を抑えつつも、王は戦姫に問い合わせる。
ヴァレンティナはこれまでのいきさつを説明する。
紹介されたものの、シーグフリードは手持無沙汰に突っ立ったままだ。
青みかかった黒髪の戦姫は語った。代理契約戦争を。かつての英雄ヴィッサリオンを。
そして――――アリファールの行方を。











◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










シーグフリード=ハウスマン。
彼は第二次代理契約戦争(セカンドヴァルバニル)の戦犯にして、大陸最悪の人外にして黒竜(ヴァルバニル)を操り、世界を滅ぼそうとした。
得手勝手でシーグフリードを生み出した初代ハウスマン。
悪魔と人間の以上交配。
そして、生殖器官を持たぬ、ごくわずかな命数。
この体にして、10にも満たない。
故に、ハウスマンの興味と好奇心はあっさりシーグフリードから離れていった。

――彼は捨てられた。

希望も興味も好奇心さえも、その身体になかったからだ。
人も魔物も、『イデンシ』と呼ばれる概念にテロメアと呼ばれるキャップが存在する。それは古い組織から新しい身体の組織に生まれ変わるたびに短くなっていき、やがて老化とともに、テロメアを摩耗したイデンシは再生能力を失う。
『成長』も『再生』も『老化』も異常に早いらしく、死期を悟ったシーグフリードはある摂理を悟った。
自身に流れる悪魔の血という、憎悪の律動。

――輪廻曲のままに殺し合う――

どのみちオレにはオレ自身がない。過去も現在も未来も――
だから憎む。目の前に映るすべてを救わんと、『殺し合う』という摂理に抗う獅子王凱とセシリー=キャンベル、ヴィッサリオンを。
特に、凱はシーグフリードにとって、最も憎悪すべき存在だった。
この世には光と影がある。
あの男はまさに光。そしてオレは影。
そのような彼はやがて獅子王凱を『宇宙』という決戦のソラへ導いた。
シーグフリードは……破滅の黒竜を駆り――
凱は…
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