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リリなのinボクらの太陽サーガ
運命のエクスシア
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区画にあるスーパーやデパート、ショッピングモールみたいなものはあまりなく、飲食店の類も少ない方だった。しかし少し前から聖王教会がこれらの事業に協力しだし、最近になってそこそこ大きな商店街―――ラーン商店街が誕生した。この辺りに住んでいる者からすれば、わざわざ中央まで行かずとも買い物ができるようになったので喜ばしいことらしく、このご時世でありながら割と活気づいていた。尤も、

「ようこそいらっしゃいましたラーンへ! お買い物ですか? 観光ですか? デートですか? 入信ですか? 洗礼ですか? 仕事を探したいならぜひ聖王教会へ! 今なら短期のアルバイト募集もたくさんありますよ! 例えばミッド中央区画の大手スーパーの中で聖王教会のすばらしさを説くだけや、ショッピングモールの店を買おうか買おうかと見せかけて一切買わない冷やかしをするだけでお金がもらえる仕事があります! しかも、その仕事を受けるだけでもれなく聖王教会教徒を名乗れる特典が付いてきます! さあ、どうでしょう!?」

「いらっしゃい! いらっしゃい! 新鮮な肉がわんさか入荷しましたよ! おっとそこのお二人さん、今夜の食事にこのとれたてのお肉なんてどうだい? ウチの新鮮な肉を食べて、お互いの肉も貪るなんて、きっと忘れられない夜になりますよ! どうですか!?」

……これを活気と言って良いのか、という疑問はある。

なんというか……このラーン商店街、異常なまでに押しが強い。一歩足を踏み入れただけで、色んな人がやれ入信だ、やれ洗礼だ、かっぽれかっぽれやら、怒涛のマシンガントークを言ってきたのだ。世界が危機に瀕していながら、この前向きさや威勢の良さは見習う所があるかもしれないが……正直、あまり相手したくなかった。

「す、すみません……私達は買い物に来ただけですので。アルバイトはもしかしたら今度やりに来るかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。で、では……」

「「「「「そうでしたか! 今日があなた方にとって良き一日でありますように!!」」」」」

怖い! この人達、怖い!!

一切乱れず同じセリフを言ってきた彼らから逃げるように、私達は走った。とりあえず落ち着けるであろう広場まで走ったのだが、さっきから妙に私の後ろ首辺りがなんかわさわさするなぁ。

「これのせいじゃない?」

ケイオスが私の後ろ首辺りから、何かの紙を取り出した。いつの間にそんなものが引っかかってたんだろう、と思いながらそれを受け取り……、

『聖王教会入信書』

「わあぁああああああ!!!!!」

一切の躊躇なく、私はその紙を真っ二つに引き裂いた。とはいえ、こんな所でゴミを捨てるわけにはいかないので、広場のゴミ箱にそれを捨てに行く。

「どうしてこうなったの……」

声が聞こえた
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