最終章
1節―超常決戦―
和洋無双
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春が目標とした“武士”は常に一対一での確実な殺戮。
相手がどれほど強くても構わない、ただ一刀で仕留めるのみ。
これが深春の『神技』だ。
どれほど敵が硬くとも、どれほど敵が速くとも“関係なくする”。
ただお互いに許されるのは一振りのみ。
それが『偽・全て斬り抜く鋼神の一撃』。
血すら浴びる事なく、ただ美しく舞いながら1人1人斬り抜いていく深春の姿に、レーヌはため息をついた。
―あれ、もう人の動きじゃないわね…。
客観的に見て、あれはただの“変態”である。
本来、前線で戦う者ではないレーヌにとって見えているのは振り抜く後と振り抜く前のみ。
故に今レーヌの眼には深春が瞬き毎に“構え”、“振り抜く”を繰り返しているようにしか見えなかった。
「やっぱりこうするのが一番手っ取り早いわ」
レーヌは杖で地面を叩く。
それだけで周りの下級天使達は自我を失い、さも当然かのように仲間討ちを始める。
言ってしまえばレーヌもやることは大概“人道”を離れているが、本人は気付いていない。
彼女からしてみれば、天使というのはただの“騒ぐ動物”でしかないのだ。
更に言ってしまうのなら先に虐殺を行い始めたのは天使側なので、容赦する気もさらさらなかったりする。
「…にしても、中々減らないわね」
「っと、仕方ないでござるよ、5万もいるし」
休憩がてら安全地帯であるレーヌの周りに戻ってきた深春は、溜まっていた息を大きく吐き出すとそう言った。
その反論できない正論に、レーヌはため息をつくと杖を大きく回す。
「『我は幻実、我は現実」
「あ、ちょっと待つでござる。小生は逃げる故」
今からやろうとしていることを察した深春は、高速でこの場から離脱。
また一刀一殺を行い始める。
けれどレーヌからしてみれば知ったことではない。
回転力もついた杖で、敵が全然減らないというストレスを込めてかなり強めに地面を叩くレーヌ。
すると、レーヌの周りが一気に水蒸気で満たされていく。
「我が放つは全て突き殺す幻実の一撃』」
持っていた杖が三又槍となり、レーヌが左手を右から左へ流せば生まれ出るは心臓。
水蒸気の中にいる天使達の心臓を、幻で擬似的に創り上げたのだ。
「『偽・全て突き殺す海神の一撃』」
最後に、レーヌは三又槍を空中へ放り出す。
幻によって生み出されるのは心臓の数だけの三又槍。
その手を振り下ろすだけで擬似的に作り上げられた心臓へ三又槍は一直線に降下し、その心臓の持ち主は死亡する。
これがソウヤでさえも「うわぁ」と言わしめた、レーヌの『神技』だった。
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