暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
1節―超常決戦―
誰の記憶にも止まらない物語
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 最も重い役割を背負っている彼がそう言うのだ、自分達もそれに続かず何とするのか。

「安心しろ、ライト。俺は…いや、俺“達”はそんな程度じゃやられない」

 これは世界神にとっての遊戯。
 全力で潰そうと思えば幾らでもソウヤ達は潰されるだろう。
 だがこれは遊戯だ、つまりこの5万の軍勢はいわゆる前座と考えるのが妥当だ。

 不敵な笑みを浮かべるソウヤに、ライトはため息をつくと両肩を上げて「参ったよ」と笑う。

「そうだね、君たちに常識は通用しなかったみたいだ」
「当たり前だろ」

 だって、何度も魔族を壊滅してきたのだから。
 だって、これまで天使を倒してきたのだから。
 だって、これから神をも倒しに行くのだから。

 そんなのが“常識に当てはまるはずがない”。

「俺はバランスブレイカー、世界の規則(ルール)を破壊する者だ」

 初めは妖精の中では偉業を成し遂げたから、名付けられた。
 次に妖精では到底成しえないことを行ったから恐れられた。
 そして人間になって、この世界のルールから解き放たれた。

 最後に行うのは、神の常識を覆すこと。
 こんな馬鹿げたことは中々ありえないだろう。
 だからぶち壊しに行くのだ、「大丈夫だろう」と上から目線の“世界神の常識”を。

 故に彼は名乗るのだ。
誇張でもなく、無謀でもなく、奮い立つわけでもない。
本当に彼が『常識を破壊する者(バランスブレイカー)』だから、そう名乗る。

「安心しろ、全部まとめて俺達が片付けてきてやる」

 ソウヤが『常識を破壊する者』ならば、彼と戦いを共にした仲間達もまた『常識を破壊する者』だ。
 妖精ならざる力を持ち、勇者を圧倒した天使でさえ打ち倒す。

 だから安心しろと、負けるはずがないとソウヤはライトに笑う。

「――あぁ、安心したよ。ソウヤ」

 ライトは心の底から彼の英雄っぽさに笑うと、城門前に集合する時刻を告げ一旦に解散したのだった。




「これから、君たちは世界を救いに行く。そうだろ?」

 解散しエレン達がそれぞれ最後の準備に戻った後、会議室にはソウヤとライトのみが残っていた。

 表情が暗いライトから発せられる問いに、ソウヤは至極真面目な顔で「あぁ」と答える。

「それが“俺が後悔しない道”だ」
「――――」

 溜まりに溜まったストレス、それと対面し乗り越えたソウヤを突き動かすのは“後悔したくない”という想い。
 “後悔したくない”から戦い続ける。
 “後悔したくない”から世界を救う。

 それは、常識人であるライトにとってとても――

「――歪だね、ソウヤ」

 元より人は後悔する生き物だ。
 “後で悔いる”という手段で人は常に過去
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ