第4章
3節―刹那の憩い―
競い合うということ
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る。
―ステータスは全部、平均的な冒険者レベルにまで落ちている。スキルは戦士固定、サブスキルも剣術以外は使用不能…か。
というか、ここまで細かく封印指定が出来るとは聞いていなかったとソウヤは苦笑を浮かべた。
だがそちらの方が好都合でやりやすい。
「じゃあやろう、俺もお前とこういう勝負がしたかった」
「考えることは同じって奴だな…!」
そうして、ソウヤとナミルの平均実力での勝負が決定した。
「ん、両者…構え」
「――――」
「――――」
ナミルとソウヤの対決。
その言葉に惹かれる者は多く、観戦者は多かった。
特に実力を平均冒険者と同レベルにまで落とした状態だから、周りに被害が出ないので余計に…である。
ナミルが持つのは身の丈ほどもある大剣。
ソウヤが持つのは使い勝手が良い片手剣。
互いに自身が最も得意とする武器を持って、今勝負は始まろうとしていた。
「始めッ…!」
誰もが目を疑う。
自分たちが今見ているのは、本当に身体能力を平均冒険者レベルまで落とした上での戦いなのか…と。
周りの人々の中で、ソウヤとナミルの動きを追えた者は殆どいなかった。
それほどまでにソウヤとナミルの動きは人外染みていたのである。
「ふッ…!」
「ッ…!」
息を吐きながら、あるいは息を鋭く吸いながら2人は剣戟を交える。
ソウヤが放つのは右からの薙ぎ払い。
本来、そこまで威力を出せるはずもない片手剣は、誰も聞いたことが無いような甲高い音で空を裂きナミルへ向かう。
それに反応したナミルは自ら持つ大剣の“グリップ”で薙ぎ払いを受け止めると、握る右手を逆手持ちにして捻ることでソウヤに刃を振るった。
攻撃を止め、攻撃する手順をほぼ同時に行われたソウヤは、咄嗟に片手剣を持つ手を離し体の半軸をずらして避けた。
目の前を通り抜けようとする大剣を尻目に、そのままソウヤは体を回転させながら裏手をナミルの頭の後ろに向けて放つ。
それを何故かは知らないが感知したナミル。
すぐさましゃがむことでその裏手を回避し、そのまま逆手で“片手”持ちの大剣を勢いのまま後ろにいるソウヤに突こうとした。
勢いそのまま、ソウヤは流れるように裏手を放った方の逆の手でナミルの頭を掴むと、それを使ってナミルの上を飛び越す。
落下しかけている片手剣もその時にしっかりキャッチして、ソウヤは一旦ナミルから離れた。
「――ふぅ」
「――はぁ」
同時に溜め息をついたソウヤとナミルは、下ろした刃をもう一度構えるが…動かない。
「楽しいな、ソウヤ」
「…あぁ、戦いを楽しいと思ったのは……久しぶりだ」
ソウヤにとって、戦いとは命の奪い合い
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