第4章
3節―刹那の憩い―
夜の中の決意
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は特に、色んな人に色んな所に行かれたでしょうし…」
「お、おう」
確かにルリの言っていることは間違っていない。
ソウヤは精神的に疲れている、今日は特に、今この瞬間特に。
「そ、それにですね、ソウヤさん“あれ”をしてるの全く見たことないんです。“溜まってる”んじゃないかなぁって…」
「!?せ、せやな」
段々口調までおかしくなり始めたソウヤ。
“あれ”とか“溜まってる”とか言い始めたら流石にそうもなるだろう。
でも流石に思春期に青春らしいことを一度もしたことない男子にはきついのではないだろうか。
「だ、だからですね…してあげようかなって――」
「…な、何を?」
聞いていいのか、いけないのか。
一度足を突っ込んだら負けではないのか、覚悟を決めた想いはどこにいったのか。
知らず知らずに生唾を飲み込んだソウヤに、ルリが目を合わせて想いを告げる。
「――耳掻きを!」
「……へ?」
覚悟もクソもなかった。
「――気持ち良いですか?」
「あ、あぁ…」
その後、ソウヤは言われた通りルリに耳掻きを受けていた。
もちろんその体制は――
「――あの、さ…。なんで膝枕?」
「え!えぇっと、この方がやりやすいじゃないですか…!」
珍しくルリに力説され、思わずソウヤは「お、おう…」と頷いてしまう。
とはいっても、至高の癒しであることは間違いない。
膝枕をされながら耳掻きを受けると言うのは、王道でありながらも誰もが憧れるものなのだ。
―あ、やべぇ…。段々眠たくなってきた……。
あまりの心地よさに瞼を重たげに開くソウヤに、ルリは気付くと――
「…あの、寝てしまっても大丈夫ですよ」
「ッ!…わ、わかった」
――耳元で囁く。
いきなりの耳に感じる吐息にソウヤは体を震わせ、目が覚めるのを感じた。
―こいつ、悪魔かなんかか…?
さきほどの思わせぶりな話し方といい、この唐突な行動といい、もう妖精じゃなくて悪魔を名乗った方がいい気がしてきたソウヤ。
といっても、ルリ本人がそれを故意でやっていないのは流石に理解できるので、名乗るとしても悪魔ではなく小悪魔だが。
―…にしても、この感じ。まさかラノベみたいな雰囲気を味わえるなんてな。
元の世界でソウヤが何だかんだハマっていたのが読書だ。
ジャンルは恋愛、ラノベ、推理、哲学…結構何でもだったが、それでもやはり年頃の男子たるもの、ラノベみたいな展開を夢見ないわけでは無かったのである。
だからこそ、この異世界転移に最初は異常に興奮していたソウヤだったが、その実ラノベらしいことは殆どしていない。
雑魚相手には無双はしていたが、強い相手はソウヤと
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