暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第4章
3節―刹那の憩い―
状況把握
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出ない。
 残り少ない時間を使いつぶし0.001%の成長をするのならば、現段階の100%を出せるようにした方が何十倍も得なのだ。

「それにね、ソウヤ、そして“申し子”の皆さん――」
「?」

 ライトはソウヤ…ではなく仲間の方へ顔を向け、一番の理由を口にする。

「――これが、“最期の機会”なんですよ」
「――――」

 “最期の機会”。
 それはウィレスクラとの決戦を行った後、勝つにしても負けるにしても“元の世界に戻りたい”とソウヤが願う限りこの世界に帰ることはない。
 だから、“最期”とは“ソウヤと接せる機会”のことなのだ。

「2日はしっかり休んで、英気を養って、思うが儘に挨拶をしてください」

 ライトはそう言うと、部屋に備え付けられた光が差し込んでいる窓から外を見る。
 外はお祭り騒ぎで皆が皆、笑顔に溢れて止まらない。

「幸いにも4日後、世界神がこの世界を滅ぼすと知っているのは数少ない人のみ。多くの人は世界が救われたのだと安心しています」
「…あぁ、そうだな。お前の言う通りだよ、ライト」

 ソウヤは大きくため息をつくと、微妙な笑顔でライトを見る。
 微妙な笑顔なのはライトの本心が薄々理解しているからこそ…ではあるが、ソウヤはそれに今回は嫌々ながら甘えることにした。
 本当にライトがこちらを心配していることは、この場の誰もが分かっていることだったから。

「俺はここまで付き合ってくれた仲間達に、別れの挨拶をしたい。きっと今しないと、俺は“後悔”するからな。だろ?」

 “別れの挨拶をしたい”。
 その気持ちは仲間達も同じなのか、顔を見合わせ――

「あぁ、ご厚意に甘えるとしよう」
「はい。私も挨拶、したいですから」
「えぇ、最後にガツンッと一言ソウヤに言いたいわ」
「おう、俺は構わないぜ」
「ん…。私も、ソウヤと居たい……」
「当然、拙者もまだまだソウヤ殿と話したいことがあるでござる」

 ――次々にライトの提案を受けていく。

 無茶をしないと約束したとも取れるその言葉を聞き、ソウヤは内心で安心する。
 と、一人返事をしなかった人を見つけソウヤは、彼女に近づいていった。

「なぁエミア。お前も休めよ、な?」
「えっ…?」

 自分にもその提案が来るとは思っていなかったエミアは、驚きながらオドオドとしてライトに視線を向ける。

「えぇ。エルフの王女よ、貴女にも休息が必要かと」
「で、でも私にはまだやるべきことが残っているので――」

 王女だから休めない、と逃げるエミアにライトは容赦なく言葉を続けた。

「――大丈夫ですよ、執務は私が行うので休んでくださって。2、3日程度ならば幾らでもできますよ」

 あっさりと人外染みた発言をしたラ
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