第4章
1節―変わった世界―
ソウヤがやるべきこと
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しての責務があり、そう簡単に首都を離れるわけにはいかなかったのは簡単にわかること。
『試練』を越え『申し子』となり、守る力を得たというのにそれはあまりにも歯痒い。
だからこそ、ソウヤの言葉に安堵しているのだ。
「なら、ソウヤさんは今からレーヌさんのところへお願いするのです」
「あそこが一番危うい…そういうことだな?」
「はい」と頷くエミア。
それを見て、ソウヤは久しく会っていないレーヌを思い出す。
彼女は元々、希少能力持ちとはいえ只の冒険者だったはずだ。
扱うスキル…いや魔法は“幻夢魔法”、幻を作り出す魔法である。
幻を作り出す魔法、というのは特殊能力にもある。
にも、というよりそっちの方が知られていた。
そっちの方は、ただ水と風を操ることで光を細かく屈折させ幻を見せるだけである。
だが、希少能力である幻夢魔法は違う。
この魔法は幻を見せるだけでなく、その幻に感触を持たせるのだ。
つまり、この魔法は“脳を支配し神経を操る”魔法なのである。
といっても神経を刺激するだけで、痛みや熱は感じても実際に怪我することは無い。
あまり単独戦闘に向いているわけでは無いのだ。
「――わかった。従おう、王女殿下」
「…えぇ。お願いしますね、『均等破壊』ソウヤ」
ソウヤは片膝をつき、エミアに礼をしてみせる。
拙いけれど、確かに感謝の気持ちが籠ったその礼にエミアは王女として答えた。
「レーヌから始まり、全ての大陸にいる天使を全滅させたら、彼女らを連れてもう一度ここへ来なさい。これは絶対です」
「…了解した」
ソウヤはそう言って立ち上がるとエミアに手を伸ばし、口を開く。
「頑張ろうな、お前も俺も」
「――はい。お互いに」
差し出された手を、エミアはそう言って力強く握りしめた。
自らの力で回りだした歯車は、反逆するために動き出した。
だが、それは1人の力では回れない。
――支える存在がいるからこそ、歯車は…彼は自身の力で回れるのだ。
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