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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十二話 回答
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「お、居た居た」
ライノスティード・ドルクがクレヴァー・レイリ―を発見したのは、スタジアムの出入り口だった。荷物をまとめた彼が、外に出ていこうとしているところに、ちょうど出くわしたのである。
「ってなに帰ろうとしてんだおめぇはっ!!」
「ぐぇっ」
いきなり後ろから首根っこをひっつかまれて、クレヴァーがおかしな声を上げる。首をさすりながら振り返ると、至極不機嫌そうなライノが自分を睨んでいた。
「ら、ライノ。何いきなり……」
「何じゃねぇよお前せめて最後まで試合みてけよ、せっかく憧れの舞台に来たんだろ?来年もあるんだろうが」
「来年……?」
「?」
まるで何を言われたか分からないと言わんばかりに首を傾げるクレヴァーに、ライノは傾げ返す。少し二人の間を沈黙が流れたのち、彼はようやく合点がいったらしく、そうかと声を上げた。
「来年も、あるんだよね、IMって」
「おいおい……」
大丈夫かお前、と、ライノは額を抑えて顔を上向ける。IMが毎年やっている事くらい常識の範疇だ。一体彼は何を言っているのか。
「ご、ごめん……正直、こ、今年の、事しか、頭に無かったから……来年の、事なんて、全然、考えた事、なかった……」
「あのなぁ、視野狭窄しすぎだろお前……負けたら来年、ってのが普通のメンタルだぞ。ほれ、戻ろうや」
「あ、えっと……」
「?」
手招きして戻ろうとするライノを引き留めるように、クレヴァーはその場にとどまったままで呼びかけた、ライノが首を傾げて彼を見ると、彼は少し俯きがちに地を見て、首を横に振る。
「やっぱり、僕は、いいや……」
「?なんだ、そんな帰りたかったか?」
普段少し自信なさげなので、少し強引に誘ってみたが、彼はついさっきまで試合で、しかも負けているのだ。彼の性格上次の機会の為に他の選手の研究を優先するかと思って誘ってはみたが、敗北の傷をしっかり癒したいというのなら流石にこれ以上引き留めるつもりもない。が……
「そう言う訳じゃ、ないんだけど……僕みたいなのが、此処に、これ以上、居るのは……」
「……はぁ?」
「だから、その、IM、みたいな、ちゃんとした場で、あんな、小ズルい手、使って……凄く、相手にも、不快な思い、させたし……何度も出るのは、それこそ……「アホかテメェは」痛ッ!?」
パコン、と綺麗な音を立てて、ライノが彼の頭をひっぱたく、頭をさするクレヴァーを見ながら、呆れたようにライノはため息をついた。
「ったく、お前ちょっと待ってろ」
「え?」
「待ってろ!お前のよく分からん勘違いを正してやる」
ふんっ、と面白くなさそうに鼻を鳴らして、ライノは通信で誰かに連絡を取り始める。少しばかり首を傾げながら彼がその様子を見ていると、不意に、控室に続く通路の方から見知った顔が飛び出した
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