第3章
2節―”神殺し”を追い求めて―
封印と未来
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アは冷静に、冷たく答える。
「ルリを初め、お主が仲間と思う者全員は”役目”があるからじゃ」
「――――――」
役目とはなんだ。
そんな疑問がソウヤを襲う。
だが、聞くまでもなくギルティアは答えた。
「魔王は倒された。確かに倒された。じゃが、”魔物がいなくなった”と言う訳ではない」
「なんで…?魔物を生み出しているのは魔王じゃないのか?」
昔、パソコンで調べた公式サイトのストーリーの中にそんな情報があったのをソウヤは覚えていた。
ギルティアはそれを鼻で笑う。
「魔王が生み出しているのは”上位の魔物”だ。他の下位や中位の魔物は基本的に魔力が集まりやすいところに生まれる」
下位や中位は、正直に言えば普通の冒険者…下手すれば冒険者となって1ヶ月の者でも倒せるレベルである。
ただ、問題はそこではなく――
「――国民の命は常に脅かされるのは変わらない」
「そうじゃ」
ソウヤの言葉に、ギルティアは頷く。
「それを防ぐために、封印を施さなければならん」
「なら、なんでピンポイントにエレンたちが…?」
それが最も大きい疑問だ。
流石に仲間全員が封印に関わる人というのは天文学的な確率である。
「封印の魔力が常に維持できるのは、ルリやエレンたちだけだからの」
ソウヤの強さに隠れてはいるが、エレンやルリの強さは妖精のレベルを超えている。
普通に異世界人を超えている可能性もあるし、下手すれば最も強いかもしれない。
なにせ、1年ほど前のころで中級魔族を相手に2対1とはいえ倒せるほどなのだ。
「故に、エレンやルリ達は必ず封印する者となるじゃろう。つまりのところ、生きているうちは”魔物を封印し続けなければならない”のじゃ」
「それって――!」
よくあるRPGのように、宝石なりに閉じ込められ半分生きながら…ということになるのだろう。
ギルティアは静かに、頷いた。
カッとソウヤの頭が破裂しそうになる…が、何とか抑えて聞く。
「ルリは、それでいいと言っているのか?」
「ルリだけじゃないの。お主の仲間…ルビを含め全員がそれを成すことを”良い”と言っておるよ」
つまり、この世界から魔物の脅威を無くすために自らの人生を売るといっても過言ではない。
あまりに残酷な未来に、ソウヤは憤怒する。
誰か、どこかに当たり散らしたかった。
「――お主は、それを頭のなかに入れてくれれば良い」
ギルティアのその言葉が、静かにソウヤの脳内を反響していた。
「クソ野郎…」
嫌なことを思い出したと、ソウヤは頭を軽く振り襲いかかる睡魔に身を委ねた。
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