暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第3章
1節―最果ての宮―
91層―後半―
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「ッチ…」

 ソウヤは小さく舌打ちすると目の前に群がるゴブリン達を睨みつける。

 RPGで最弱のモンスターとして大体出てくるゴブリンは、この世界でもその類を出なかった。
 β版でも初期の魔法専門としてステータスを組んだ人でも、肉弾戦でギリギリ勝ててしまう例が存在しているほどだ。

 しかし、目の前のゴブリンを目にしてどれだけの人が勝てるというのだろうか。
 ソウヤは当然として、ルリでも3匹が限界だろう。

 それが20匹。
 正直「戦いは数だよっ!」と叫んでいる人に反論できないほどソウヤとルビは追い詰められていた。

 現在では20にまで数は落としたが始めの頃は40以上いたのを考えると背筋がゾッとするものがある。
 しかも1匹1匹が大体下級~中級魔族級だというのだから頭は抱えたくなるものだ。

 しかし、幸いしているのはそこまで通路が広くない事だろうか。
 小柄であるゴブリンが4匹ほどしか通れない一本通路なので、囲まれることがないからだ。

「どうする、ルビッ!」

 襲い掛かってくるゴブリンを刹那で受け止めると、蹴りで後ろに吹っ飛ばしたソウヤはルビに叫んだ。
 その顔には汗が流れており、どれだけ踏ん張っているのかがよく分かる。

「大きな魔法、打ちこむ。けど、敵が邪魔して、集中できない…!」
「どれだけ耐えればいいっ!?」

 ルビは2匹同時でソウヤに襲い掛かろうとしているゴブリンの1匹に向かって、氷の槍を投げゴブリンを後退させる。

「20秒…!」
「きつい事を…!」

 ソウヤはそういうと、アイテムストレージから即座に|絶対盾(ザース)を騎士盾クラスの大きさで取り出すとゴブリンの攻撃を受け止めた。
 顔には苦痛を見せている。

 20秒。
 それはソウヤ達にとってひどく長い時間だ。
 強敵であった骸骨との戦いがたった7秒だったことを考えると、大体その3倍は耐えなければならない。

 大体1秒が1分~2分ほどだと考えるとその苦しさが分かりやすいだろう。
 つまり20分、それがソウヤが耐えるべき時間だ。

「ぐっ…!」

 1…2…3…。

 ゴブリンの攻撃がザースに当たり、凄まじい音を上げて洞窟内に響く。
 ソウヤは両足と防いでいる左腕全体を肉体強化すると、ゴブリンの1匹を吹っ飛ばす。

 ザースから少し頭を出すと、そこには2匹のゴブリンが右と左から攻撃を放とうとしていた。
 それをソウヤは両手にそれぞれ持つ得物で滑らせることで衝撃を減らすと、右足に風の魔法を纏わせるとゴブリン2匹を同時に吹き飛ばす。
 蹴った状態からすぐさま地魔法で巨大な壁を自身の目の前に生成する。

 4…5…。

 凄まじい音が地魔法で作り出した壁の向こうから聞こえるの
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