第3章
1節―最果ての宮―
少女
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ウヤに言った。
…全身を鎖で縛られ檻で閉じこまれたまま。
少女が、初めてソウヤに懇願した。
助けてくれ…と。
その言葉の裏に、なにもないことをソウヤは能力、そして経験による第6感で判断すると雪無を鞘から引き抜いた。
キラリ…と純白に光る雪無をソウヤは振り上げる。
絶望、恐怖、そして怒りを顔に現した少女は諦めたように顔を下げ、眼をギュっと閉じ――
「…っ!」
――いきなり身体が自由になった感覚を覚え、一気に表情を驚愕へと変化させた。
「…どういうつもりですかな、冒険者殿」
「簡単な事だ」
村長の冷徹なその言葉に、ソウヤは鼻で笑う。
後ろから立ち込める殺気をヒシヒシと感じながら、ソウヤは雪無を村長たちへと向ける。
そして、静かに殺気を露わにした。
幾多もの死線をくぐり抜けてきたからこそ鍛えられる、その殺気の密度に数人の農民であろう男たちは地面に尻もちをつく。
「あの少女が”助けてくれ”と言ったから、助ける。それだけだ」
そう言うと、ニヤリとソウヤは笑った…否、”嗤った”。
「…仕方あるまい。全員、あの魔族に心を乗ったられた冒険者殿を…”殺せ”」
それだけ言うと、広い空間の中で入り口から多量の男たちが姿を現す。
男たちが身にまとっている武器防具は全て地上では超高価であろう名剣や名鎧。
それが20人ほどなのだから笑えない。
しかし、ソウヤはそれを内心で笑うとすぐさま鎖から助けだした少女の元へ向かう。
―この村長も、今襲いかかってこようとしてくる男たちも、そしてこの少女も、全て声に感情がこもっている。つまり、こいつらは人なのか…?
ソウヤは内心でそう疑問を持つと、同時に少女を左手で抱き上げる。
「ひゃっ…!」
少女が静かにそう叫ぶが、現状況ではしかたのないことなので我慢してもらおうとソウヤは内心謝る。
右手に持つ雪無を逆手で持ち、それを扉の反対方向へ向けた。
ブルブルと震えている少女にソウヤは静かに、できるだけ優しく声をかける。
「…しっかり捕まって、息を止めて」
ギュっとソウヤを抱く力が一気に強くなる。
あまりの凄まじい力にソウヤも少し顔がひきつった。
―あながち、魔族っていうのも間違ってないな、これは。
ソウヤはそう苦笑すると、一気に雪無に魔力を貯める。
上級魔剣程度ならばソウヤの魔力の1/10を込めただけでもぶっ壊れていただろうが、|将軍剣(ロード・ソーガ)クラスの剣ならばそれも心配ない。
そして、ソウヤはその雪無にためた魔力を以前から考えていた魔法に行使する。
「『魔力加速』」
刹那。
そう、刹那の間にソウ
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