第3章
1節―最果ての宮―
帰る理由
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その目つきに老人も笑うのを辞め真剣な表情となる。
「…聞きたいことがある」
「うむ」
「老人、あんたは”偽物”か”本物”…どっちだ?」
その言葉に、老人は「うむ…」とだけ言うとコップの中にある液体を口に含み、よく味わってから飲み干す。
その行動、その幸せそうな表情、言葉…全てがまるで本物の人のように機能している。
「”偽物”か”本物”、か…。面白い言い方じゃな、しかし的を得ておる」
「答えろ」
「若造がそう焦るな…。そうじゃな…強いていうなら偽物じゃな」
偽物、その事実がソウヤをさらなる混乱に陥れる。
思わず眉間にしわを寄せると老人が、微笑んだ。
「まぁ、この村に居る人々と同じ構造ではないがな」
「どういう…意味だ」
「簡単じゃよ、老人の死体を使って中に精霊を組み込んだ…。酷く簡単なことじゃ」
そう言って老人がカッカと笑う。
簡単…そう老人は言い切ってはいるが、それは普通の人ならばどれだけ努力しても不可能なことだ。
精霊と呼ばれる、ソウヤたち妖精とは違う進化をたどったその魔力で作られた生命体は通常の人ならば見ることすら出来ない。
特殊な方法によって獲得できる『精霊使い』という特殊能力を手に入れなければ行けないのだ。
それでも最強の精霊使いと言われていた者は、上位の精霊の力の約半分すら出せなかったという。
精霊というのは魔法、魔族などと同じように下級、中級、上級…と別れており上位の者ほど妖精と同じような知性を持っている。
ソウヤの目の前に居る老人と同じ知性を持つ精霊は、おそらく上位以上であろう。
そしてその精霊の言うことさえ聞かせられる精霊使いは、この世には…少なくとも歴史上存在していない。
―誰が作ったんだ、本当に…。
考えれば考えるほどに訳がわからなくなるこの状態で、ソウヤは諦めるのが楽だと気付き内心でため息をつく。
それよりも老人から情報を入手した方がいいと理解した。
「では、やはり外の住民は老人以外全員…」
「そうじゃ、全員プログラムが施されて、決まった言葉表情しかせんようになっておる」
少なくとも、プログラムを人形などに埋め込むことは現在でも過去でも出来るものは居ない。
しかも上級以上の精霊を完璧に行使出来る者も、同様に居ない。
一体どれだけの実力を持った人がやったのか…はたまた、大量の人数によって築いたものなのか…ソウヤが知るところではないのだろう。
「では、次の層に早く行きたいだがどうすれば良い?」
「簡単な事じゃよ。お主、儂の家に来るまでに泣き崩れとる夫婦が居ったじゃろう?その夫婦の願いを叶えれば良い」
―ことごとく…RPGだな。
ソウヤは内心でそう突っ
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