第3章
1節―最果ての宮―
決意
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剣型はそう小さく呻き、目に闇を灯した。
ドサリと地面に倒れる剣型と、その血肉を吸い続ける雪無を尻目にソウヤはアイテムストレージから直刀を1本取り出し、槍型に突っ込む。
槍型は怖気づかず、反対にソウヤを強く見定め――
「『ウィンド・ドーガ』!」
――凄まじい速度の…渾身の一撃をソウヤに叩きこむべく突きを放った。
「ッ!!」
そのあまりの凄まじさを持つ突きに、ソウヤは思わず瞬時に直刀を巨刀化させ槍型に突きを放つ。
あまりのその打撃力に一瞬にして槍型はミンチになった
「あ……」
ソウヤは思わずそうつぶやいた。
命の危険を察知した結果、思わず禁止していたはずの巨刀化を使ってしまったのだ。
「両方死ぬのを覚悟ではなった技…か」
あのあまりの凄まじさを感じたソウヤは、小さくそうつぶやく。
そしてミンチとなった槍型を見て、ソウヤはため息をついた。
「無駄になったな…」
ソウヤは倒したオークから役に立ちそうな物を全て拝借すると、先に進み始める。
「時間は…約1分しか経っていないのか……」
「疲労と割にあわないな…」とソウヤはうんざりしたようにつぶやいた。
あれだけの緊張感、危機感、恐怖感を感じていたのに対して戦闘時間は約1分。
しかもそのうちの20秒は雪無の血肉を吸う時間に使ってしまっているので、結果的には40秒ほどである。
「あと…48層もこれを繰り返さなきゃならないのか」
ソウヤはもう一度、ため息を付いた。
―でも、挫折するわけには…いかない。
ソウヤは雪無を握る力を思わず強めた。
―ルリの手紙に書いてあった「何かを手に入れることができる」という、その何かはわからない。だが、ルリが言うからには俺が必要としているものなのだろう。
目の前にまたオークたちが現れる。
それは剣型と魔術型の2体のようで、こちらを見つけるとそれぞれの得物を構えた。
―俺はここをクリアする。そして、少しでも力を手に入れて…そしてラスボスを倒し元の世界に戻るんだ…。そして――やり直すんだ。
ソウヤは意思を固めると、そのオークたちに向けて雪無を構え突っ込んでいった。
未だ、歯車は回り始めたばかり、そう――まだ”始まり”の途中なのである。
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