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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十六話 新人事の波紋
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改めて周囲に印象付けた。また第四艦隊司令官パストーレ中将、第六艦隊司令官ムーア中将が最高幕僚会議議員に異動し代わりに第四艦隊にはモートン少将が、第六艦隊にはカールセン少将がそれぞれ中将に昇進して艦隊司令官になっている。

二人とも兵卒上がりで政治色は無い。実力は有りながらも士官学校を卒業していないということで必ずしも場所を得ていなかった。その二人がパストーレ中将、ムーア中将に代わって艦隊司令官になった。パストーレ中将、ムーア中将はあまり実権の無い最高幕僚会議議員に異動……。

本来なら有りえない人事だ、パストーレ中将、ムーア中将はトリューニヒト国防委員長に近い人物と考えられていた。誰かが強くトリューニヒト委員長に要請したから実現できた人事だろう。父もそう言っていた、誰かが動いたと……。

そしてその全てにヴァレンシュタイン准将が絡んでいるのではないかと言われている。先日のシトレ元帥との密会騒動。一部の報道の中には二人が男色関係に有るのではないかとの報道も有った。

シトレ元帥は身長二メートルを超える偉丈夫だし准将は小柄で華奢な身体をしている。何かにつけて英雄と呼ばれる彼にやっかみの声が有ってもおかしくは無い。しかしその憶測も人事異動の発令と共に消えた。

おそらく二人が話し合ったのは今回の人事の事、そしてトリューニヒト国防委員長に対しての根回し……。ロボス元帥の失脚さえ二人がシナリオを書いたのではないかと言われている……。

ヤン准将もヴァレンシュタイン准将も挨拶を済ますとそのまま作業に戻った。ヴァレンシュタイン准将は書類の確認、そしてヤン准将は……読書? 准将が読んでいるのはどう見ても仕事に関係した本ではなかった。歴史の本だった……。仕事は? 思わず周囲を見たけれど皆何も言わない。不思議だった。

新人の私の指導係になったのはミハマ・サアヤ少佐だった。私より三歳年上だけど既に少佐になっている。ヴァンフリート、イゼルローン、二度の戦いを最前戦で戦い昇進した。イゼルローンでは危険な撤退作戦にも従事している。ヴァレンシュタイン准将の信頼厚い女性士官だ。

“私はおまけで昇進したの、何にもしてないのよ”
私が尊敬していると言うと少佐は困ったような笑みを浮かべて答えてくれた。謙遜? それとも本心?

私が少佐について最初に教わったのは補給関係の書類の確認だった。私は此処に来る前は情報分析課にいたから補給関係の仕事は初めてだった。少佐は元々後方勤務本部にいたからこの仕事には慣れているらしい。戸惑う私にミハマ少佐は親切かつ丁寧に教えてくれた。

「とても分かり易いです。有難うございます」
「私もそういう風に教わったの、ヴァレンシュタイン准将にね」
「准将に、ですか?」

ミハマ少佐は私の問いかけに笑って頷いた。准将が用
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