第2章
3節―始まり―
目覚めと序章
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。
段々とぼやけていく教室を眺めてながらソウヤは最後に思った。
――…ごめん。
それが誰に向けられたのか、言った自身にしかそれは理解できるわけもなかった。
「んぅ…?」
差し込む光、それが目に直撃してソウヤは目が覚めた。
もう少し寝たいという欲望を抑え込み、ゆっくりと目を開ける――どこか元の世界に戻っているのではないのかと、期待をしながら。
目を開けたところに映ったのは見慣れた天井。
しかしその材料はコンクリートではなく木の板だ。
ソウヤもよく知っているであろう場所、異世界での日常的に使われる宿らしい。
「どれだけ気絶してから経ってるんだろう」
ソウヤはそう思い、ベッドから立ち上がると…盛大な音を立てて地面にぶっ倒れた。
「…?」
どうにも体に力が入らない現状にソウヤは疑問を持つ。
倒れた拍子にでた大きな音を聞きつけたのだろう、誰かが走ってこちらに向かってくるのが分かる。
そして勢いよく開かれた扉、それを開けたのはレーヌだった。
レーヌがソウヤがぶっ倒れているのを見つけると、焦ったように肩を貸してソウヤを立ち上がらせた。
「…すまん」
「何言っているの!?まだ気絶して1日しか経ってないんだから身体がまだ治りきっていないのは当然でしょう!?」
「1日、気絶したのか。また…今回は起きるのが、早かったな」
ソウヤはレーヌにベッドに横たわらせてもらう。
よく見たら、ソウヤの身体は汗でベタベタになっておりベッドもまるで水に濡らしたように冷たかった。
それを知って、ソウヤはレーヌに申し訳無く思う。
「他のみんなは…?」
「買い出しに行ったり、依頼を受けたりしてるわ」
「さっさと身体を元に戻さないと…」
「一応、一晩かけて水魔法で再生能力は少しは良くなっているはずよ」
ソウヤはレーヌのその言葉に「すまん」とだけ謝ると、窓を見る。
街は人が溢れ、圧倒的絶望から助かったのがよほど嬉しかったのか、祭りのように騒いでいた。
「今日、休んだらこの町を出てこの大陸からも出よう」
「――」
なぜそうしたいか…その思いがレーヌにも伝わったのか、レーヌは少しの間黙った。
もう、これ以上周りの人々に迷惑をかけてはならない…『英雄』は皆が知らないところで消え、物語上だけで受け継がれるものなのだろう。
「…わかったわ。そう伝えとくわね」
「頼む」
ソウヤはそれだけ伝えると、身体が限界になったのか眼を閉じ静かに眠り始めた。
それを見たレーヌはその部屋から出る直前に、「――おやすみ」それだけ言って部屋から出る。
町は、『英雄たち』の思想も知らず、一時期の歓喜に満ち溢れていた…。
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