第2章
2節―運命が許さない旅―
魔物の軍団
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ルは、ガバッ!という音でも付きそうな勢いで顔を上げた。
「ソウヤに着いて行きたいんだ。なんとなく俺には分かるんだ、ソウヤがこれからとても壮大な事をしなければならないことを。そしてそれはこの世界…いや、他の世界の人にだって出来やしないことなんだ。だから…俺はソウヤを手伝いたい。それがこの世界の人類を助ける手段だと思うから」
普通の人なら、「なんだそれ、頭イカれてるだろ」なんて思うだけで済むだろうが…それを聞いたソウヤと、そしてルリが驚いた表情をした。
主にソウヤが驚いたのは、普通ならありえないことを言うナミルの言葉に、真剣なものが含まれていて…それが嘘だとは到底思えなかったからだ。
それに対して、”色々なこと”を知るルリは、ナミルの並外れた直感力に心底驚いていたである。
「…だが、それでもダメだ」
しかし、ソウヤはナミルの頼みに反対した。
ソウヤは神様でも何でもないので、手が数十本あるわけでもないし分裂出来るわけでもない。
チートなソウヤであっても、手助けできるのは限られた者のみなのだ。
しかし、ナミルの助け船を出したのは意外中の意外にも、ルリだった。
「ソウヤさん。私はナミルさんにパーティーに入ってもらいたいです」
「…ルリ?」
ソウヤはいつもは無言で話を聞いているルリの、その言葉に頭を傾げた。
ルリのその目は本気そのものであり、気持ちに揺らぐ姿勢がないのをソウヤは感じ取り…「はぁ…」と溜息を吐く。
「ルリ、それが何を意味するのか分かっているのか?」
「はい。ですが”あの方”に勝てるのはソウヤさんしか居ませんから」
ルリのその言葉に出てきた”あの方”というのは誰の事だろうか…?とソウヤは頭を捻った。
しかし、たとえルリの頼みとはいえナミルを自由に出来ない事で被害が増えるのは好ましくないとソウヤは思う。
そうしてうんうん唸っていると、村の男性が汗を垂らしながら焦ったようにソウヤ達に近づいてきた。
「はぁ…はぁ…!き、聞いてくだせぇ皆さん!!」
「…?どうした?」
「レ、レーンが…か、陥落したっ!!」
その男性の言葉に、数瞬の間ソウヤ達は驚いた表情のまま固まる。
この大陸最大の都市であり、もっとも強き冒険者たちが集う場所であったその場所が陥落したというのだ、驚くなと言う方がおかしいであろう。
そして、この硬直から抜け出したのはやはりというべきか、ソウヤだった。
「…どうして陥落したんだ?」
「魔族が現れたんだっ!しかも|将軍魔族(ロード・ローゼ)が居るんだ!」
興奮冷めぬ様子でそう託したてる男性は、それだけ言うと息を切らしてつらそうな表情をする。
わざわざ、それを伝えるためにここまで疲れるほど走ってきてくれたのだろう、とソウヤ
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