第1章
4節―茨の旅の決意―
再会の天使
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発する。
「剣となれ業火…『業火剣《サイガドル・ソーガ》』」
とたんにソウヤの手のひらに業火の炎が現れて剣の形を取る。
ソウヤはそれを向かってくる人影に向かい斬りつけんと『業火剣』を振り下ろす。
ガキィィィィッ!と鉱物同士がぶつかり合う音が響き、その人影はバックステップを行って剣を鞘に戻す。
ソウヤはその人影を見てふぅ…とため息をついてその人影に声をかける。
「人が悪いな、俺はあんまり目立ちたくないんだよ…”エレン”」
「気付かれた…か。久しぶりだな、ソウヤ、いや…『均等破壊』?」
裏路地に入った光に照らされて現れたのは、かつてソウヤと友となったエレンとその姿だった。
ソウヤは久しぶりの綺麗な声に顔が和らぎエレンのもとへ向かい、そして真剣な顔に戻す。
「…どうしてここに?」
「魔族がここに現れて、それを退けたという人の調査だ…どうせお前だろう?」
「あぁ…まぁ、な」
ソウヤはエレンの言葉にやれやれと手を振りながらエレンを見る。
そのソウヤの動作を見たエレンは、1つ大きなため息をついてソウヤを見据えた。
シーン…と裏路地の辺りは沈黙に包まれて、ソウヤとエレンは互いを静かに見据えている。
「…ソウヤ、お前城には――」
「もどらないよ」
しばらくの間の沈黙の後に声を出したのはエレンだった。
城に戻るという意見に即座に反対したソウヤをエレンは見て、もう一度大きくため息をつく。
そしてソウヤは口を静かに開けた。
「…俺があの魔族を倒したとき、俺は意識を失った。それを介抱してくれたのが1人のグルフの女の人…ルリだったんだ。そのルリが住んでいた村は突然襲われてこの子の育ての親は死んだ」
「…だから、この子に恩返しのつもりで旅に連れて行っているのか?」
「それもあるし、何よりルリを放ってはおけないしな。強引だとは分かっている」
それだけ言うと、ソウヤはスゥッと目を細めてなにか遠い目をする。
そのソウヤをエレンは見ると、はぁっ…と何度目かのため息をついてソウヤに言葉を告げた。
「国からの私に向けての命令だ。”ソウヤが返ってこない場合、その護衛をしろ”とね」
「なっ!?おい、国の防衛は超手薄になるじゃないか」
「それに関しては大丈夫だ」とエレンはニヤリと顔を歪めてそう告げる。
それを聞いてソウヤは頭を抱えたくなる衝動が表れてその場でうずくまり唸ってしまう。
しばらくの間そうしていて、そしてソウヤは小さくため息を1つ着くと再び立ち上がりエレンを見据える。
「…ライトか?」
「あぁ。あいつは二つ名は持ってはいないがそれとほぼ同等の知恵と魔力を持っている」
「分かったよ…。で、どうして俺だと気付いたんだ?」
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