第1章
4節―茨の旅の決意―
港街ポールト
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
旅を初めて2日、現在ソウヤ達は街道を歩いていた。
「そういえば、ソウヤさんはどこに向かっているんですか?」
ただ歩くのに飽きたのか、唐突にルリがソウヤに向かって聞く。
そういえば、とソウヤはルリに行く場所を告げていないことに気付き「すまん伝えてなかったな」と苦笑する。
「どうせ旅するなら、色々と回ってみたいだろ?だからとりあえず港街ポールトに向かうつもりだ」
「港街ポールト…ですか?」
ルリが首を傾げながら街の名前を繰り返す。
―そっか、あの村にずっといたから知らないのか。
街や村の外には魔物がうろついているので、本来旅に出れる者は非常にすくない。
それ故に自分の村や街のこと以外を知らず一生を終える者も多いはずである。
「あぁ。潮風に呷られても大丈夫なように家が全て白く染められているらしい。また、海に面しているから貿易の街としても活躍してる街だ」
「白い家、ですか…。想像もつきません」
―まぁ、森に囲まれた村で生きてきたんじゃわからないよな。
どんな家か必死に想像しているルリを見て、ソウヤは口元を緩めると「着いたら分かるさ」とだけ言うことにする。
少し意地悪なソウヤの言葉に、ルリはどうしても気になるのかまた頭で考えだす。
それほど気になるのか、とソウヤは唸っているルリをチラ見して、そのモヤモヤを晴らす為に話題を変えることにする。
「それにしても、この姿はいつになっても慣れないな」
現在の村を出た時に使った月文字魔法によって、今もソウヤの容姿が異なっている。
とはいっても変わっているのは髪や瞳、肌の色ぐらいでそれ以外は全く弄っていないのだが。
それでもやはり目や髪は気にならないだろうが、肌の色が外国人みたいになっていれば流石に気になるだろう。
「お似合いですよ、ソウヤさん」
「嘘言うな。俺の容姿はそこまで優れてないことぐらい知ってる」
容姿を褒めるルリに、ソウヤは肩を竦めながら自分を卑下する。
とはいっても本当に自身の容姿は優れていないと、ソウヤが思っているし事実元の世界ではカッコいいなんて一言も言われたことがないのだが。
けれど、言った本人のルリは本音なので自分を卑下するソウヤに眉を下ろした。
事実、この世界ではソウヤの顔はどちらかというと“優れている”に入るだろう。
どうしても戦う者が多いこの世界は、筋肉隆々の男が多くソウヤのような細めの体つきを持つ男は少ない。
また顔の線も細いので、元の世界の“普通の顔”は“少しカッコいい”に入るのだ。
と、街道を歩く2人に道を塞ぐ者が現れる。
この世界では“普通”のクラスに入る、全身筋肉で出来た男たちだ。
男たちが浮かべる下品な笑みを入れなかった場合…
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ