第1章
4節―茨の旅の決意―
港街ポールト
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貨なのでその板から硬貨として取り出すことも、逆に板に入れることも出来る。
元の世界でもこんな感じなら良いのに…とソウヤが思うほどの画期的な板であった。
手持ちはかなりあると言われても申し訳なさそうに耳を垂れるルリに、ソウヤはしょうがないなと苦笑する。
「だが、後に自前で稼ぐ手段を作る予定だ。その時にしっかり返してもらうぞ」
「…!はいっ!」
ルリのように―言い方は悪いが―お人よしな性格の者は、一方的に施しを受けるというのを嫌うことが多い。
特に村では自分の力だけで自分とリク老人の2人分働いていたので、何でも自分で出来るようになりたいのだろう。
だからソウヤは、ルリの意志を尊重して後で返してもらうことにした。
ソウヤの言葉にルリが頷いて了承してくれたのを確認してから、2人は宿を探し始める。
当然、屋台のものをウィンドウショッピングしながら…ではあるが。
その後、ルリとソウヤは一緒に「ラウス肉」と呼ばれる肉を串刺しに刺したものを食べ歩きながら宿を探す。
あまり高額な宿だと変な人から目を付けられる可能性が高いため、探すのは程ほどの宿。
大体30分後、“窮龍亭”と呼ばれる宿にソウヤ達は泊まることに決定した。
この世界のお金はロード―記号でR―で表すことができ、日本円でいうと先ほどの串焼きから換算して1R=約20円ほどだ。
また、本来は硬貨であるお金は『金結晶』とよばれる板に収納することができるのは、先ほどもした話だろう。
ついでに言うならば“窮龍亭”の宿代は1000Rで、日本円換算で2万円ほど。
1日分とはいえ、2人別の部屋にして2万というのは安すぎるのではないだろうか。
だが、貿易の街というからには人も多く移動して留まりにくいことを考えると、安くして当然とは思える。
「さて、部屋も取れたことだしギルドへ行くぞ」
「ギルド…ですか?」
まずギルドすら理解していさそうなルリ。
それも当然だ、まずあの村周辺には比較的村人でも対処できる弱い魔物しかいなかったのだから。
ギルド。
本来の名称は“冒険者支援ギルド”だ。
その名の通り、依頼を受け時に駐屯兵の代わりを務め、時に地域の開拓を行う冒険者のサポートを行う場所である。
確かにソウヤの手持ちはかなりあるが、それにばかり頼ってはいられない。
ソウヤの本来の目的は“元の世界に戻る”ことである。
その為には一刻も早く強くなり、魔族との戦いを早急に終わらす必要があった。
稼いだお金は装備を整えるのにも使えるし、何より手持ちだけでやり過ごすのも周りから目を付けられそうだ。
普通に金を稼いだ方が何倍も普通に見えるだろう。
「――っていうのが、ギルドの説明と俺の目的なんだが」
「…そうですか
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