第1章
1節―プロローグ―
初ボス
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
最後に放った“技”…“纏う風”と“解き放つ風の刃”。
あれは“剣術”と“戦士”の熟練度がそれぞれ上級、達人級となって初めて得られる序盤の中で最も効果力の大技である。
その威力はαテストの中でもボスのHPを軽く3分の1持っていく、あまりにおかしなものだ。
だが、1か月もなかったαテストでは“剣術”と“戦士”を達人級まで上げた人は殆ど居らず、またデメリットが高すぎるため使われていなかった。
その問題の1つ目のデメリットはHPが毎秒100持っていかれ、MPも毎秒50秒持っていかれる。
“戦士”だったαテスターの最高レベルのHP・MPはそれぞれ600と250ほどしかないので、MP全快でも5秒しか持たないことになるのだ。
しかも、HPもギリギリまで削られるため攻撃当てたは良いものの、即座にボスの攻撃を食らい死亡する可能性がある。
次のデメリットは準備時間があまりに長すぎる点だ。
“纏う風”を行い風が纏い終わるまで構えたまま静止し、やっと攻撃出来たとしてもさらに“解き放つ風の刃”を行わなければならない。
ここまで敵が静止し、またはほとんど動かない状態にしなければならないという、あまりにも残酷な条件である。
そして何よりのデメリット、それは…“持てない”のだ。
“纏う風”を使用すると、使用する武器の重さが大体3倍ほどに増える。
片手剣ならば大剣を超す重量を、大剣ならば巨剣とほとんど変わらない重量を味わうことになるのだ。
使用しようとしたら、ゲームならば“重量制限のため使えません”とよく出てきたらしい。
もうゲームでないと理解したとしても、その重量に耐えられるかどうかは本人次第…というわけである。
「あれはもう使いたくないなぁ…」
今回ソウヤはこのデメリットを“肉体強化”と運で切り抜けた。
“肉体強化”で筋力を上げ、なんとか“纏う風”を維持し元々普通に高かったHPとMPで堪え、あとは運で巨大ザルが意外と体制を崩していたのが吉と出たのである。
といっても――
「――最後回復してHP4割とMP1割だからかなりギリギリだったけど…」
ソウヤはそう結論付けると、体をなんとか起こす。
周りを見てみると、周辺に大きめの湖が出来ていた。
「…ん?」
1,2時間寝ている間に何故湖が出来たのかという疑問を抱いたソウヤは、痛む体を引き攣って湖を眺める。
「んー…ゲーム的に考えるなら、ボスを倒したことによる帰還ワープかなぁ」
この2ヶ月以上、瞬死の森の中を探索し続けたが東西南北どこへ行っても出口が見つからなかったのだ。
そして現れたボスと、その後にできたと思われる湖。
帰還用ワープと考えるのが最もだろう。
「とりあえず、服も血で汚れて
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ