第十六話
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よ。下手したら木曾よりもいいかもしれないね。」
提督は笑いながらそう言った。しかし、私にはとてもそうは思えない。
「しかし、それでもやはり戦闘にまだ慣れてない所があるでしょう。まぁ、その辺りはいずれどうにかなるでしょうけど。」
「いやいや、それでもおかしいと思わないか?」
提督は含み笑いと共に私に質問してきた。
「何がですか?」
「いや、だってさ。
今回が初陣なのに、いきなり撃墜数六隻だよ?しかも、あの木曾が居るのに。」
完全に盲点だった。そう言えばそうだ。
いつもなら木曾の撃墜数は多いときは二十隻位沈めるのだが、今回はそれよりかなり少ない。いつもなら木曾の調子が悪いと思う所だが、それなら他の艦の撃墜数が増えている筈だ。
しかし、今回は誰も撃墜数は増えていない。
つまり、木曾の撃墜数を二号が奪った、ということだ。
あの木曾から、初陣にも関わらず、だ。
「これは、これからなかなか面白い事になりそうじゃないか?」
「……しかし、提と」
私がそう言おうとしたら、提督が険しい顔をしてこちらを見た。
「唯、二人の時は提督とか呼ばなくて良いって。あと、敬語も良いからって言ってるじゃん。」
………………。
「二人の時は提督と大淀じゃなくて、大輝と唯。そう決めたろ?」
全くこの人は……なかなか恥ずかしい事を考えたものだ……。
「わかったわよ、大輝。それで、質問なのだけど、まさかそれを確かめるために今回二号を出撃させたの?」
「うん。この機会を逃したらなかなか第一線の戦場に出撃させれないと思ったからね。」
大輝は、満面の笑顔でこちらを見た。
「全く……。あなたって人は……。」
私はまた頭を押さえた。この人の秘書艦になってからもう長いけど、この人の行動の一つ一つに頭を押さえている。
「でも、それでこそあなただよね。」
しかし、私も思わず笑顔になってしまう。
「さて、あと二時間位で帰投するだろう。明石と間宮に指示を出しといてくれ。僕はまだ今日の分の事務作業が残ってるから、やってくるよ。」
そう言って、大輝は作戦指令室から出ていった。あの様子だと、このまま徹夜コースだろう。
「……さて、明石と間宮に知らせて来ますかね。」
私もそれについていくように、作戦指令室から出ていった。
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